クトゥルフしようぜ!

【別室】

「………(2人を睨みつけたまま腕を組みながら壁に凭れている)」
「…………(ソファーに座ったまま気まずそうに視線をうろうろとさせ)」
「………えっーと(頬を掻きながら気まずそうに視線逸らし)」
「(フォークを机に置くと幸せそうな顔で両手を合わせ)ふう、美味しかったです。ご馳走様でした……っと、そうでしたそうでした!改めて、おめでとうございます!友人として、心から祝福させてください(首を傾げながら笑みを浮かべ)」
「あ、ああ。うん。ありがとう菊ちゃん。そう言ってもらえて嬉しいよ」
「うん、本当にありがとう。……俺もそんなに喜んでもらえて嬉しいんだぞ」

「…はあ(深い溜息を漏らし)…で、事の発端は何だ。何かしら手術を施したかしなければ男の妊娠なんてのは滅多にないことだろう」
「そうですね。医学的にはまだ実験段階と伺いますし、医療関係の者としてはとても気になる案件です」
「えっと、それ……なんだけど……(困ったようにフランシスの方へ視線を送り)」
「なんて言えばいいのかな…下手すれば信じてくれないような出来事だったからなあ(髪を弄りながら困ったように首を傾げ)」
「言わなきゃ分かんねえだろ。ほら、包み隠さず言ってみろ」
「……薬をね、こう、ぐいっと……飲んで……」
「そうそう、シキュウデキールってのだっけ。それを飲んで…」
「……は?(真顔)」
「薬のお陰でね、俺の中に、後天的に子宮がね……あるんだよ(震え声)」
「……はい?(真顔)」
「申し訳ないけど本当にその通りなんだよね…」
「………(腕を組み直すと苛立ちを隠せない様子で自身の二の腕を指で一定間隔のリズムで叩き)」
「えっと、少々お待ち下さい?私、薬剤師としてそこそこキャリアを積んできましたがシキュウデキールなんて突拍子もない薬は聞いたことありませんよ?(混乱)」
「うん。俺だってそんな薬の名前が実在するとは普通は思えないんだけどね。思えないんだけど…実際に手に取ったからね(苦笑いをただ浮かべて)」
「(へなりとソファーの背凭れに倒れ)……そんな効能も怪しい薬を飲むだなんて……無事だったからよかったものを……臨床試験だって済んでいない薬ですよね、きっと」
「……でも、欲しかったんだ……フランシスの赤ちゃんを……目の前にそんな夢みたいな薬を出されたら、手を伸ばしてしまうだろ?(視線を自身の腹に落として慈しむように撫で)」
「…俺も菊ちゃんみたいに最初はそんな怪しい薬を飲ませることを止めようした。けれどさ、その薬が本当に子供が出来るものならと、その提示された希望に心を踊らせてしまった俺が居たんだ。…でもごめんとは謝らないよ。俺とアルフレッドとの間に子供が産まれることはどんなことを言われても幸せなことなんだから(お腹を撫でるアルフレッドの手を重ねると視線を合わせ優しく微笑み)」
「(ふたりの様子に目を伏せ)……薬剤師としては、おふたりを叱らないとならない立場でしょう。先も述べた通り、臨床試験も済んでいない得体の知れぬ薬を飲んだのですから。最悪は死に至る危険性だって孕んでいます。……ですが、そうですね。おふたりの友としては、おめでとうと言いたくなるのです(顔を上げると綺麗な笑みでふたりを見つめ)」
「菊ちゃん…(菊の笑みに安堵の表情を浮かべる)」
「菊……Thanks(ぐすりと鼻を啜り)」

「…本職からの注意を受けたのなら薬に関しては俺は何も言わない」
「……(意を決したようにアーサーの方へと向き)」
「(重く閉ざしていた瞼を開き)胡散臭い薬でも現に受胎したのだからその薬の効能は受け入れざる得ないのだろう。だがお前達は副作用のことや今後の事をちゃんと考えているのか?お前達がただその時の感情で薬を飲んだというのなら俺はその腹の中の子供を堕ろすことだって勧めるぞ(ふたりの表情を伺いながらも意思の強すぎる目で見つめ)」
「ッ!?(がたりとソファーから勢いよく立ち上がり)その時の感情……!?ふざけないでくれよっ!俺は産む!何があっても!!副作用だって、もしあったとしても怖くない!!仕事だって今以上に精を出す!!産まれてくる子の為にも!!」
「(おろおろと義兄弟のやりとりに視線を彷徨わせ)」
「アーサー。俺だってアルフレッドと同じ気持ちだ。俺はただアルフレッドを支えることしか出来ないけどずっと傍に居てやる覚悟はあるよ。それは子供が産まれたって、アルフレッドが万が一に副作用で体調を崩したとしてもだ(視線を逸らすことなくアーサーを見つめ)」
「ならひとつ聞こう。お前達は産まれてきた子供にしっかりと説明出来るのか?物心がつけば周囲から自分達は周りとは違う環境に居ると否が応でも気付き疑問に思う筈だ。そんな時でもお前達は逃げることなく向き合って話せるのか?」
「それ……っ、は……それは……説明、するさ……理解されないとしても……俺たちの想いの結晶が、苦しまないために……(唇を噛んで俯き)」
「パーティーに呼んだような奴らみたいに祝福してくれるばかりの奴らではないってことだって理解してるんだろ?だったらこの先どんな風にお前やお前の子供が見られて声をかけられるかだって分かってるはずだ」
「……そうですね。まだ男性が子を孕み、産むと言う事実に世間は追い付けない。怖い話でしょうが、アーサーさんの憂いは間違いなくおふたりと、その子供に降り掛かります」
「…そうだね。アーサーや菊ちゃんの言う通り、この会場に居る皆みたいに祝福してくれない人だっているかもしれないね(ふうっと長く息を吐き)」
「……それでも、それでも……俺は、フランクの子を……産みたい……(震える声で呟き)」
「貴方がたは有名人ですからね。特にそういった目に晒されると思います。……アーサーさんはそれが言いたかったのでは?(首を傾げ)」
「生半可な覚悟で子を育てると言うのなら悪い事は言わない。子供が苦しい思いをしないうちに中絶手術を受けることだな」
「ッ、(ばっと顔を上げると今にも泣きそうな顔でアーサーを睨み)嫌だ!絶対に嫌だ!!俺はこの子を産むんだ!!この子だけは!渡さない!!(守るように両手で腹を押さえ)」
「アルフレッド、落ち着いて(ぽふぽふとあやす様に頭を撫で)アーサーや菊ちゃんの言葉は嫌でも俺達が今後ぶち当たる壁の話だ。これはふたりなりの優しささ。そこはちゃんと聞いておかなきゃ」
「ええ、アーサーさんの話は世間の一般論でしょう。ですから、きちんと聞いてあげてください。でないと、傷付くのは貴方たちなんですから……」
「……(ふうふうと荒く息を吐き気持ちを落ち着けようと試みる)」
「勿論。でもね、俺もアルフレッドと同意見。子供を堕ろすつもりは全くないし気持ちは変わらないよ。産まれてくる赤ちゃんには酷な事だろうと思うけど…うん、俺は大丈夫だって信じてるよ。だって俺とアルフレッドの子供でアーサー、お前みたいな聡明な義兄と共に居たアルフレッドの子供なんだからねっ(ふわりと柔らかな笑みをアーサーと菊に向け)」
「……(あ、上手く回避しましたね、フランシスさん)」
「…(まさかの自分自身への賞賛の言葉に硬直)」
「(呼吸は荒いままにアーサーを見据え)……アート、俺は確かに君の記憶の小さなアルフレッドのままかもしれない。けど、信じてくれ……絶対逃げ出さない。フランクと、この子に誓って。君の期待に応えてみせるから」
「(アルフレッドの言葉に我に返り)…自分が選んだ選択がどれほどの厳しいものかは分かってるんだな、アル」
「(こくりと頷き)分かってるよ、俺ももう22だ。だからアート、信じて。絶対に君の期待を裏切らない。……アルフレッド・ボヌフォワという、新しく生まれ変わった俺の名にも誓って」
「……。アルフレッド・ボヌフォワ、か」
「はは、さっき言ったろ?正式に結婚するって(照れを誤魔化すように笑い)」
「アーサー。子供のことは勿論、フレドのことは幸せにするから。約束するよ(アーサーの方へ手を差し伸べ)」
「…(差し出された手を握り)約束破ったらただじゃおかねえからな(力強く手を握りしめる)」

「(アーサーの雰囲気が和らいでふわりと微笑み)ふふ、おふたりなら素敵な家庭を築けますよ」
「うん、そうだといいな(照れたまま)」
「(アーサーの手を強く握り返し)菊ちゃんもありがとね」
「いえいえ、大したことなどしておりませんよ(口許に手を当てて綺麗に微笑み)」
「いいか、子供を産むということは親の自覚をより一層持つことだ。子供は親を見て育つ生き物だからな。私生活においてもそれを意識して(フランシスの手を離すとつらつらと語りだし)」
「わ、分かってるよ……きちんとします!俺たちの背中見て育つなら、きちんとヒーローらしくしないといけないからね(アーサーの勢いに圧されながら)」
「俺も俺も。ちゃんと誰とでも仲良くなれる優しい子として育てるからさ(同じくアーサーの勢いに押されながらこくこくと頷き)」
「目立ちたがり屋で軟派な子供か…心配だ(額に手を当て溜息を漏らし)」
「アーサーさん、逆を考えましょう。人当たりがよく、誰にも手を差し伸べられる子、という感じで(精一杯のフォロー)」
「駄目だ…こいつら2人の顔がちらつくとどうも悪い方に考えちまう(真顔)」
「(むっとしつつも言い淀むように唇を開閉し)……あのさ、アート。菊も……お腹、少しでいいから、撫でてくれる?」
「……(ふっと目尻を緩めてアーサーの方を向き)」
「…(そっとアルフレッドのお腹に手を当て)」
「……(アーサーの後に優しくアルフレッドの腹へとそっと手を当て)」
「っん……(ぴくりと小さく反応すると嬉しそうに息を吐き)……ほら、聞こえるかい?君の伯父さんと、その親友だよ……(胎内の子に話し掛けるように)」
「…(見たことのないアルフレッドの表情をじっと見入り)」
「(アーサーの視線に気付くと首を傾げ)……どうか、したかい?」
「ああ、…いや、…なんでもない(表情はどこか穏やかなものへと変わっている)」
「?……変なアート(小さく笑うと慈愛に満ちた表情で腹を撫で)……ほら、早く産まれておいで」
「(アルフレッドの腹を撫でてフランシスの方へ視線を向け)……フランシスさん、少し早いですがベビー用品、必要なものは多少なりと贈らせてくださいね?」
「ふふ、楽しみにしてるよ。まだ男の子か女の子か分からないけど可愛い服を着せてあげたいなあ」
「おや、まだ性別は判明していないのですか?」
「ン、まだそこまで成長してないから。……どっちの性別でも、フランクに似た美人になるんだろうなあ……」
「いやいやフレドに似て可愛い子だと思うよ」
「……(これは俺は惚気けられているのか?)」
「……(いやはやお熱い)」

「(けほりと咳をし)……フランク、性別わかったら名前も決めてあげなきゃね」
「そうだね。いくつか候補を上げておいてもいいかもだね(顎に手を添えると頷き)」
「やっぱり男の子なら格好いい名前がいいし、女の子なら可愛い名前だよね……アーサー、菊、君たちにも少し訊ねるかも(さすさすと腹を撫で)」
「おや、名付け親の権利は私ではないですよ?……アーサーさんやウィリアムズ先生の方が適切でしょう?(くすくすと笑い)」
「名前か…やはり姓名判断を元に選ぶ方が良いのかそれとも(ぶつぶつ)」
「……(肩を竦めてフランシスの方へ視線を送り)」
「実は俺達よりもアーサーの方が子供が産まれるのを楽しみにしてるのかもね(くすくすと小さく笑い)」
「彼はいい伯父さんになると思うんだぞ。……きっとこの子のことも、可愛がってくれるよね(優しく我が子の宿る腹を撫で)」
「意外とべったべたに甘やかしそうだよね、アーサーの奴」
「はは、目に浮かぶんだぞ。……楽しみだなあ(未来を思い浮かべながら目を細め)」

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