クトゥルフしようぜ!

仏「(頻繁に表示が変わる電光掲示板を見つめながら)…そろそろ、かな(腰掛けていたベンチから立ち上がると受付の方へと歩き出し)」

米「(キョロキョロと物珍しそうに周囲へ視線を泳がせ)……観光なんてどれぐらいぶりだっけなあ」
仏「(大きなキャリーを転がす団体客の波を通り抜けるとお目当ての相手を見つけ)お、いたいた。アメ…じゃないやアルフレッド!(アメリカに向かって声をかけると手を大きく振り)」
米「(声に気付くとキャリーケースを掴んでいない片手を上げ)フランシス!わざわざ迎えに来てくれたのかい?(早足でキャリーケースを転がしながらフランスの方へと駆け寄り)」
仏「はは、せっかくお前が遊びに来てくれるんだからね。いてもたってもいられなくて来ちゃったよ(ウインク)」
米「なんだい、照れるじゃないか(頬を掻くと照れ臭そうに笑い)……観光目的で君のところに来るなんて凄く久し振りだから楽しみで、飛行機でも寝れなかったんだぞ?」
仏「(アメリカの言葉にくすくすと笑い)子供かよ。それだけ楽しみにしてくれてるんなら素直に嬉しいんだけどさ。…と、アルフレッド。ひとつ忘れてたことがあったよ」
米「ん?忘れてたこと?(こてんと首を傾げ)」
仏「そ、大事な事だよ(アメリカの両頬に手を添えると眼前で微笑みを携え)ん、…会いたかったよ。フレド(ちゅっと音を立てて唇にキスを落とし)」
米「ッン!!(優しいキスに息を詰めるとややあって眼鏡の奥の空色がふわりと和らぎ)……うん、フランク。俺も会いたかったんだぞ」
仏「(空色に自分の姿が映る事に幸福感を覚え)今日はずっと一緒に居られるね。しかも仕事のないまったくのプライベートだ。…ふふ、お前を独占出来るなんて最高の気分だね(頬を優しく指の腹で撫でる)」
米「頑張って仕事片付けて1週間のバカンスもぎ取ってた甲斐があったんだぞ。……君んちでゆっくり出来るし、君を独り占め出来るし(擽ったそうに笑い)」
仏「お互いこの日が来るまでひたすらに仕事こなしてたもんなあ。…俺は死にそうだったよ。多分上司もドン引きしてたね。働きすぎだって(むにむにと手持ち無沙汰にアメリカの頬を摘み)」
米「(頬を摘ままれてくすくすと笑い)君が働きすぎだなんて、きっと休み明けはスコールだね。間違いないよ」
仏「それは歓迎だよ。大雨が降ったのを理由にストライキ出来るからね!(ドヤ顔を披露しながら頬を触れる手を離し)さ、そろそろ空港から出ようか。なにせ今日は色々とお兄さんが厳選した観光スポットを回るんだから忙しくなるよー(キャリーケースを持っていない手に指を絡めるとそのまま前を歩き)」
米「HAHAHA!君が決めてくれたその厳選観光スポット、楽しみにしてたんだよ。どこ行くか教えてくれないから、Go○gleでも場所確認できないし(指先が触れ合ってこそばゆい幸せにいつも以上に弾んだ声を出し)」
仏「なに、エッフェル塔やセーヌ川みたいなメジャー所はお前もよく知ってるだろうからね。まあ期待でも膨らませておきなよ。その期待値を上回るくらいの場所に案内するつもりさ(ズボンのポケットから車の鍵を取り出すとリング部分に指を通しくるくると回す)」
米「勿論!この俺のお眼鏡に叶うようなすごい場所に連れてってくれるんだろ?(くるくると車の鍵を回す様子を見ながら子供のようにからからと笑う)」
仏「(空港の玄関から出ると駐車場にある自分の車の方へ向かい)言っとくけどお前の考えてるジェットコースターやバンジージャンプとかそんな絶叫系のものを想像してるなら今すぐ忘れることをお勧めするね。俺ん家は俺ん家なりの胸を高鳴らせるものがあるんだから(スマートキーでロックを解除し後部座席側の扉を開くと荷物を置くように促し)」
米「えー、なんだ。最速コースターとかが出来たのかなって思ってたのに(唇を尖らせながらも大きな荷物を後部座席に詰め込んで勝手知ったる様子で助手席に座り)」
仏「そういうのはお前の家のお家芸じゃん。前に日本とお前ん家のジェットコースター乗ったけどなにあれ、作りがこう雑なんだよ。早くて高くすればいいってもんじゃないから(呆れた様子で息を吐くと運転席に腰掛けシートベルトをしめる)」
米「まあね!あの最高のスリルとスピードが堪らないのさ!勿論、安全面はきちんと考慮してる……はずだから安心してくれよ!(ウインクを飛ばすとシートベルトを締め)」
仏「いや今なんで言葉に詰まったの。そこはちゃんと言い切る所だろ(アメリカがシートベルトをしめたことを確認するとエンジンをかけシフトレバーを操作する)」
米「いや、時々事故るの知ってるからつい……(たははっと笑うとオーディオに手を伸ばして適当なラジオを選択し)うーん、英語の放送がない……」
仏「(ハンドルを回しながらシフトレバーを細かく動かし)当たり前でしょ俺の家なんだから。オーディオから英語なんて流れた日なんてこの世の終わりに近いもんだよ(とんとんと流れてくるフランス語の歌に合わせてハンドルに乗せた指でリズムをとるように叩き)」
米「たまにカナダがフランス語口走るくらいで俺には馴染みがないんだよ……(そう言いながらもフランスのリズムに聞き入って座席にゆったりと座り直す)」
仏「…まあ自国の言葉が1番って思うのはどこも同じだよ。俺だってお前だってその言葉に誇りを持ってるんだ。悪いことじゃないんじゃない?(盛り上がるサビ部分で指で軽快にハンドルを叩きながら方向指示器を出すとスムーズに車線変更し)」
米「ン、その通りだよ。俺は俺の言葉が一番だと思ってるし、そこは譲らないからね。……ただ、その、なんだろ。たまには、いいね。君の家の歌も(目を閉じて音を聴きながら拙く鼻唄を紡ぎ)」
仏「…(アメリカの様子を物珍しそうに見つめ)…珍しいね。お前が自国の歌以外を褒めるなんて。あ、アニソンはちゃんと認めてるか」
米「たまにはね。俺の家にも君の言葉が根付いてる場所はあるし、……君と付き合い始めてからちょっとだけ、君の言葉が綺麗に思えただけだよ(ふいっと窓に視線を逸らすも窓ガラスに映る顔は赤い)」
仏「…(ガラス越しに見えるアメリカの顔に口元を緩ませながら頬を掻き)考えることは同じ、か。…アメリカ、オーディオの下の引き出しに入ってるCD(指で引き出しを差すとオーディオにディスクを入れるように促し)」
米「CD?(引き出しを開けてディスクをセットするとラジオを操作してCD音源に変えて音を出す前に首を傾げ)……これ、何のCDだい?」
仏「ん、お前んとこのバンドの歌。カナダに焼いてもらってね(オーディオから流れる直接的すぎる愛の言葉で歌われる英語に鼻唄を乗せ)」
米「……(ぽかんとしながらも聞き覚えのある声にじわじわと首筋まで赤くなり)は、恥ずかしいやつだね君は!」
仏「(前方の信号が黄色になるのを確認しゆっくり減速していくと横断歩道の手前で停車し)恥ずかしい奴なのはお互い様でしょ。ま、少なくともお前んとこの子のストレートすぎる歌詞よりかは俺のがよっぽどマシだね(にやりと笑うとつんつんと頬を指で突き)」
米「う、煩いなあ!……ストレートでいいじゃないか。けど、あー……(ちらりと信号を見て変わらないことを確認するとフランスの指を掴んで指先にちゅっと口付け)……情熱的だろ?」
仏「……(不意打ちの拙いキスにアイリスを瞬かせるとすぐに楽しそうに細め)…まだ夜はやって来ないよ。それとも、待ち遠しいのかな?(口付けを落とされた指に自身の唇を押し当てながら小首を傾げて妖艶に微笑む)」
米「(スイッチが入ったようにくすりと笑い)……うん、待ち遠しい。君とのデートを楽しんだら……たっぷりそっちも楽しみたいんだぞ?」
仏「ん、(運転席から腰を上げアメリカの肩を抱いて唇に啄むようなキスを落とし)満足させてあげるよ。心も体も、ね」
米「んん……(目を閉じて応えるようにバードキスを返し)っは、……うん。満足させて?」
仏「Oui,mon Femme fatale(唇から頬と鼻先、最後に瞼にキスを落とし)…そうと決まれば腹ごしらえからだ。ここからもう少しした所にレストランがあるからそこで食事でもしようか(前方の信号が青になる直前にアメリカの頭を撫でるとすぐに運転することに集中力を戻し)」
米「ン、(擽ったそうに笑って身体を離し)……お腹すいてるし、どんなフレンチが出るのかな(性欲から食欲に切り替わって鼻唄を歌い)」

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