クトゥルフしようぜ!

【イギリスの突然の訪問に驚いたものの、日本は人当たりの良い笑みを浮かべて彼を居間へと案内する。いつものように片付いた部屋にイギリスを残し、日本は台所へと向かう。
お茶は緑茶、菓子はせんべいと羊羹。薬缶へ水を張り、火を掛けながら鼻歌交じりに羊羹を切る日本は、突然の来訪とはいえ愛しい恋人の姿を視れて嬉しいのだとよくわかった】

「ふーんふんふふふふーん、ふーんふんふふふふーん♪(薬缶を見ながら羊羹を手際よく切り、鼻歌を歌い)」
「……(日本を待っている時間を持て余し、ちゃぶ台の前に胡座の態勢で座っている)…ん?」

【不意に視界に入ったのは、綺麗に畳まれた布。布だろうか、真っ白なそれは見覚えがあるような、ないような。好奇心に負けて手に取るとするりとその姿が露わになった】

「…これは…白衣、か?(広げながらまじまじと見つめる)」
「イギリスさーん、お茶入りましたよー。本日は老舗和菓子店の羊羹とせんべいを……っ!!?(広げられた白衣にびしりと固まる)」
「ああ、日本。悪いな気を遣わせて。あと(白衣を日本に見えるように広げて)これはどうしたんだ?」
「え、ええ……(盆を取り落とさないように震える手で卓袱台に盆を乗せ)そ、れはですね……ほら、近所の方が忘れ物してしまったんですよ!(あははと笑いながら)」
「…白衣ということはdoctorか?お前、どこか悪かったのか!?(心配のあまり思わず日本の肩を掴む)」
「ふ、わ!?(びくりと大きく肩を震わせ)ち、ちち、違いますよお医者様ではなくて……!(おろおろと視線を彷徨わせ)」
「?じゃあ何なんだ?(不思議そうに見つめる)」
「う、あ……あの、(バツが悪いのか目を伏せ)……私物、です……」
「え…日本、の?(ぱちぱちと瞬き)」
「……はい、私の私物です。その、この前……ネット注文しまして……ほ、ほら、前回のセッションでは私服でしたが、今後白衣での戦闘とかあるなら、その、動きの参考に(言い切ると恥ずかしさのあまり顔を覆い)」
「あー、なるほど。菊の資料か。お前はたまに一つのことに熱を注ぐと色々凝るもんなあ。(もう1度白衣をまじまじと見ながら)…へえ」
「え、ええ……お恥ずかしながら。ですが、その、これ……大阪さん辺りに差し上げようかと。私が持ってても宝の持ち腐れですし……忘年会にでも使ってくださいと……」
「…(何か考え込みながら、すぐににっこり笑顔で)なあ日本。これ、着てみないか?」
「……へ?」
「セッションの資料用だろ?俺も菊のイメージを固めたいからさ、お前が白衣を着てくれたら描写とかよりリアルになるじゃねえか」
「あ、ああ……なるほど。そういうことでしたら構いませんよ。ただ、中に合わせられる服があまりないので、少々イメージと離れてしまいますが……」
「仕事着ならワイシャツとかネクタイのビジネススタイルでいいんじゃないか?(顎に手を添えながらふむっと)」
「そうですね、確か……(ごそごそと押し入れの中から綺麗に畳んだワイシャツやネクタイ、スラックスを引っ張り出し)ああ、こんな感じですね(一式を並べ)」
「ああ。なかなか様になりそうだよな。じゃあ日本、さっそく着てみてくれ(にっこり)」
「ふふ、なんだかコスプレみたいで照れてしまいますね……では、着替えてまいります(一式を持ち上げるとお辞儀をして隣の部屋へと消えていく)」
「待ってるぜ?」

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