ソードワールドしようぜ!-Under-
【タリアーヘ 町長の家】
「邪魔すんぞ。町長は……居るな(使用人に通された執務室で町長を確認し)」
「…司祭代理、さっきの、さっきの魔物は(執務室のデスクに肘をつき震えながら)」
「……(深くため息をついて)あれは魔神だ。安心しろ、もう倒してるべ」
「(控えめにドアをノックし)失礼します。お茶をお持ちしま……きゃ!?(絨毯に足を引っ掛け大きな音を立ててお盆をひっくり返す)」
「おう、びっくりした(派手に転けたツーツィアを見つめ)」
「ツーツィア、大丈夫であるか?(壁に寄り掛かっていたが、壁から離れてツーツィアに怪我がないか覗き込む)」
「(緊張の糸が解けたのか息を大きく呑み)……またか、またお前かフィー!!お前も私の地位を脅かすつもりか!(ツーツィアの元に早足で歩み寄り腕を強く掴む)」
「っあ!(腕に走る痛みに声を上げ)ご、ごめんなさいっごめんなさいっ!」
「!!やめるのである父上!!ツーツィアは何もしていないであろう!!(町長の腕を掴むと渾身の力で握りしめ)」
「何も?何もしてない?ならこのざまはなんだ!!異種族の奴らがこの街に住み着いてからだ!この街は、私の街はおかしくなったではないか!!そうだろう、異種族の親玉よ!!(バッシュの迫力に引かずにルーカスを睨み)」
「何をまた言うかと思えば……(はああっと大きく溜息をつき)」
「くだらぬ!それでこの街の町長とは反吐が出る!我らは等しくヒトなのである!!結託出来ずどうせよと言うか!!」
「や、やめてくださいましっ!今回は私がお茶を零す粗相をしたせいで……(絨毯から立ち上がり三人の間に入る)」
「我が息子よ。この小娘に何を誑かされたは知らん。しかし街の現状を見よ。かつて緑と水の豊かな街は死を恐れ震える毎日を送っているのだぞ!?……あの時、あの時だ。絶対人間主義が異種族を排除していればっ」
「何が絶対人間主義か!我々は古より手を取り合って生活してきたのである!異種族?それはエルフやドワーフから見た人間も同じであろう!!(射殺さんという視線で町長を睨み付け)」
「あのような傲慢で下品な者共と一緒にするな!!ミストラルは共存せよと謳っていたがそれがどうだ!異種族の者共の差金であのようなバケモノも寄り付く!!それでも共存しろと夢物語をお前も語るのか!(なりふり構わず吠えるように)」
「……(ふーっと息を吐くと冷静になろうときつく目を瞑り)前司祭は、我らにとって必要であることを説いていた。互いに手を取り合わねば、生きてなど行けぬ。もしも、それでも人間だけで生きたいのならば、父上はどこか人間だけの集落に行くといいのである」
「っ!!お前は!私の町を捨てろというのか!?実の息子が私に去れと!!何も出来ず野垂れ死んだ男の言葉を私より信頼するというのか!!!」
「……おい(静かな声で2人に声をかけ)」
「(ルーカスへと視線を向け)……何であるか、ルーカス」
「俺はなしてここで親子喧嘩を見せられてんだ(ふうっと溜息をつき一呼吸置いて)……それと、町長。それ以上ミストラルを愚弄するのならただではおかない」
「……っ(バッシュの腕を振りほどきデスクへと戻る)」
「……お兄様、大丈夫ですか?(心配そうにバッシュに近付き)」
「大丈夫だツーツィア。……それよりもお前の腕は大丈夫であるか?痛かったであろう?」
「ええ。私は無事です。ああ、でも私のせいで美しい装飾の絨毯が汚れてしまいました…(紅茶が被り色濃くなった絨毯を見つめ)」
「そんなものは気にしないでいいのである。どうせ父上と喧嘩をしたら汚れるのである、遅いか早いかの違いであろう(ツーツィアを慈しむように見つめると安心させるように頭を撫でる)」
「……報告は以上か、最高司祭殿(苛立ちは隠さないままにルーカスを睨み)」
「最高司祭代理だ、町長。そだな、他にも報告することはあるが……」
「……もういい。あとはそちらに任せる(デスクから離れ早足で部屋から出る)」
「町長に代わって、我輩が報告を聞こう。……父上が酷い仕打ちをして、済まない」
「いや、別に気にしてね。あっちも色々気が滅入ってんだろ。大変だな上のもんは、俺にはなれねえもんだ(やれやれと肩を竦め)」
「いや、我輩は次の最高司祭はルーカスだと思っているのである。……で、他の報告とは?」
「謙遜だな。ああ、隣国の近状だな。おめの親父は隣国との同盟を前向きに考えてる見てえだが先程の戦闘もろくに騎士団は動かねえわ異種族を奴隷にしようと目論んでるわ黒いとこしかでねえべ(書類をバッシュに手渡し)」
「(ざっと書類に目を通すと深い溜息を零し)……こんな相手と、何故町長は同盟を組もうなどと思ったか。こんなもの、形だけの同盟……略奪と何も変わらないのである」
「一時的な平和は嵐の前の静けさと同じだ。今まで守ってきたものは確実に奪われる。…町長がそれに気付けばええがな」
「いや、町長は……父上は気付かないであろう。今の父上は力に怯える小市民、自分にないものが怖いのである。だから、甘美な罠に掛かってしまう……愚かである(ギリギリと拳を握りしめ)」
「お兄様……(バッシュの拳にそっと手を置き)」
「ツーツィア……大丈夫である、お前のことは絶対に守ってみせるのである(ツーツィアへと優しく微笑み)」
「ですがあまり無理をなさらないで下さいまし。もしもお兄様に何かあったのなら私は、私…(目を潤ませながらバッシュを見上げ)」
「安心するのである、我輩は死なぬ。この美しいタリアーヘの復興を見届け、年老いて、幸せに死ぬのが我輩の理想である」
「わ、私はそんなお兄様の役に立ってみせます!この命はお兄様、貴方に救われました。ですからお兄様のためにいえ、私のためにもお兄様の傍らに居られるよう頑張ります…!」
「頼りにしておるぞ、ツーツィア。お前の妖精魔法は、我輩を幾度となく助けた。……それに、我輩も我輩とお前の為に種族の垣根をなくすと誓おう(目を細め)」
「……今度は兄妹愛劇場か(ツーツィアが辛うじてひっくり返さなかったティーカップに紅茶をいれ啜りながら)」
「!!……ごほんっ、ルーカス。他に報告は?(何度も咳払いしながら)」
「こっちはねえ。反対に聞くが、マシューとギルベルトの情報ばまだ来てね?」
「有力な情報はまだ来ていないのである。ただ、1件……本人かどうかは不明の情報であるが……」
「ほう。詳しく教えてくんね?(無人のデスクに腰掛け脚を組む)」
「此処から国境を越えた先の森に、マシューに似たブロンドの青年ともうひとりの男がいたという報告である。……ブロンドは数が多い故に、見間違いの可能性も高い」
「……1度現場に行くか。今はどんな些細な情報でもええ、それを拾い上げるしか出来ねえからな」
「ギルベルトの方も、出来るだけ情報を集めよう。……マシューも、正確な情報が来ればいいのであるが……」
「助かる。あれの兄弟は一時期片割れの消失に色々と崩れてたからな。今は立ち直ってるが本人が見つかるこどに越したこどはねえ」
「そうであるな。……我輩もツーツィアが消えてしまったなどという日が来たら、あのふたりと似たように暴走する自信はあるのである(自嘲混じりにうっすら笑いを浮かべ)」
「皆前向きにいようと振る舞うが消失という穴は塞がらねえ。ふと振り返った瞬間にまた腐るかもしんねえな。……その為になんとかしてやんねえと(伏し目がちに目を細め)」
「同感である。特にアルフレッド、あれは危険な目をしていた。……再度同じ目を見るのはごめんである」
「ま、何か馬鹿な事しでかしそうならはったおしでもなんとかするつもりだべ。…と、長居しちまったな。俺もでけえ奴さんと戦って疲れたからそろそろ帰るべ」
「む、ご苦労であった。報酬についてはマリアリリィへ振り込んでおくのである、ささやかだが後に討伐者で分けるといい」
「ルーカス様、昨晩も夜の見守りをされていましたがお休みになられていますか?」
「ん?ああ、安心しろ。水中に1時間浸かれば疲れは吹っ飛ぶ。…あ、今のはダジャレでねえからな。浸かれも疲れ(真顔)」
「まあ、ルーカス様ったら(くすくすと笑って)」
「疲れているのであろう、水中ではなくゆっくりと一度寝るといい……」
「おめもなバッシュ。あんまし気負うな。気負うとほうら、眉間のしわがとれなくなっぞ(バッシュの眉間を指で小突く)」
「……これは気苦労が絶えないだけである(小突かれた眉間を押さえ)」
「若いのにそれは大変だな。じゃあなバッシュ、ツーツィアも。熱すぎる兄妹愛も程々にな(くすくすと笑いながら執務室から退室)」
「嵐のような男であるな、ルーカスは(苦笑を零しながら壁に凭れる)」
「ええ、ですが頼もしいお方です。あのような方が最高司祭になって頂ければ宜しいのですのに(執務室の扉を見つめながら)」
「うむ、他の腐った人間どもが最高司祭になるよりよっぽどいい。……問題はルーカスがこの話を蹴ることであるな」
「自分はそんな柄ではないと依然仰っていました。それに…旦那様はあまりルーカス様が最高司祭になることを好ましく思っていないようですし」
「父上は人間以外が最高司祭になることを拒んでいるだけなのである。……人間だけに縛られるなど、運命の選択肢を狭めているだけである(苦悶の表情で溜息を零し)」
「……旦那様にも旦那様の考えがおありなのです。私達には理解出来ない考えでも本当は別の意味がおありなのかしもれません。……ですから、私はどの考えが正しいと答えようがないのです(スカートの裾をぎゅっと握り)」
「…………そうであるな。今は父上が町長、我輩たちが何を言ったところで父上が頷かない限りは何も変わらない。……答えは、命の数だけあるのである」
「(バッシュの手を包み込むように両手を添え)……それでも私はお兄様の傍にいたいのです。私の答えはお兄様の傍なのですから(はにかみながら微笑み)」
「ツーツィア……うむ、我輩もツーツィアの傍にいたいのである。……よき兄妹として、よき理解者として(力強く頷き)」
← ×
main
ALICE+