自己紹介は三行でまとめろ


裏庭に着くと、ほとんど揃っていた。あともう少しすれば全員揃うだろう。途中で時計を見たけど、あと7分程あったし。土方くんの教育の甲斐あって、みんな5分前には揃っている。見たところ、あと4人ほどだ。沓脱ぎ石に座って待つ。どたどたと廊下を走る音が聞こえる。朝礼をするのが土方くんじゃなくても急ぐの、みんな偉いなあと思う。
土方くんと比べたら私なんてずうっと弱そうだろうになあ。

「すいません!遅れました!」
「大丈夫だよお、5分前に間に合ってます。」

隊ごとに分かれて直立する隊士たちはすごく迫力がある。土方くんはひとりでも勝るほどの迫力だ、私もそれに習わないと。いちばん前の隊士の顔しか見えないとしても。

「おはよう、みんな揃ったね?」
「「「はい!」」」

帰ってくる何十もの声は大きい。息を吸い込み、お腹に力を入れる。負けちゃいけないのだ。

「真選組局中法度五ヶ条!一、士道に背きまじき事!」
「「「一、士道に背きまじき事!」」」
「一、局を脱するを許さず!」
「「「一、局を脱するを許さず!」」」
「一、勝手に金策いたすべからず!」
「「「一、勝手に金策いたすべからず!」」」
「一、勝手に訴訟取り扱うべからず!」
「「「一、勝手に訴訟取り扱うべからず!」」」
「一、私の闘争を許さず!」
「「「一、私の闘争を許さず!」」」

私たちを縛る鉄の掟だ。
この後の隊士たちの顔は凛々しい、気合いが入っているということなんだろう。今この時から真選組の一日が始まったのだ。

「みんな今日も調子は良さそうだね。今日の連絡事項としては、今日から土方くんたちが戌亥星の大使館の近くで張り込みを始めます。ことによっては、見廻り中の隊と合流して突入という流れもあるので、今日からずっとその心づもりでお願いします。どこにいても無線は手放さないでね。私からは以上です。それじゃあ今日も頑張っていきましょう。」
「「「はい!」」」

パトカーに乗り込む隊士やそのまま歩いて出ていく隊士、屯所待機の隊士で一斉に場は捌ける。今日も何とか土方くんみたいにできたかな、少し不安が残る。でも、みんなの顔を見る分には大丈夫そうだ。伝えなきゃいけないこともちゃんと伝えた。うん、大丈夫。
私もお昼までは屯所待機なので、時間まで雑用をこなす。土方くんの部屋の掃除もしたいし、武器の調整もしないといけない。刀ほど気にしないといけないものではないけど、飛び道具は数が必要だから仕込みが多いのだ。ゆったり仕事をこなすとしよう。
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