自己紹介は三行でまとめろ


朝ごはんは卵焼きとミニサラダとご飯だった。
目の前で全てがマヨネーズに埋もれていく様を見ながら、よく噛んで食べる。マヨネーズの食べ過ぎは体に良くない、とテレビのお姉さんが言っていたから、あんまり食べ過ぎないで欲しい。多分むり。でも私が諦めたら、誰も土方くんのマヨネーズを止めないから、諦めるわけにはいかないのだ。傍を通るみんなが土方くんの朝ごはんを見て、顔色を悪くする。本当は止めたい。でも今日は張り込みだから、止めないのだ。張り込みは大変だからね。

「ごちそうさまでした。今日の見廻り表確認しておくね。」
「ん、はんきゅ。」

マヨネーズは油がとっても多いらしい。その油たっぷりなマヨネーズをお米と一緒に食べている土方くん。健康診断に引っかかっていないらしい。心底不思議だ。マヨネーズなのかお米なのか焼き魚なのか野菜なのかわからないのに。
お盆を洗い場に返すと、お弁当をもらった。今日の朝ごはんの当番は、たまに叫んで走ってどこかへ行ってしまうけど、優しい宇和くんと宇和くんと仲の良い隊士たちだ。宇和くんと山崎くんが当番の時は、いつもお弁当を作ってくれる。うれしい。今日はロコモコ丼だ。宇和くんはいつも手の込んだものを作ってくれる。私に合わせて、いつも小さなお弁当を作ってくれるのだ。すごくめんどうなのに。とっても優しい良い子だ。お礼を言うと、笑顔を返してくれた。すごく良い子だ。今日は絶対に良い日だ。

土方くんの部屋の仕事机の引き出しにある見廻り表を確認する。その通りに、廊下の壁に見廻り当番の名札をかける。今日は土方くんと沖田くんという大きな戦力が張り込んでしまうから、見廻りには隊長格がちらほらいる。私も当番だ。
そういえば今日はお昼の再放送ドラマがやる日だから、録画しておかないと。ふたりが好きらしい。よく分からないけど、続きが気になって仕方がなくなるとか。録画、ちゃんとできるといいけど。2分の1の確率で失敗するのだ。
見廻り表のミッションも終え、洗濯機に放り込んだシーツを取りに行く。そろそろ終わっているはずだ。道中で部屋に戻る途中の終くんと出くわした。おはよう、と手を振ったら、手を振り返してくれた。今日はまだお腹を痛めていないみたい。良かった。
洗濯機は仕事を終えていて、ピーピーと鳴っていた。綺麗になったシーツを取り出す。このまま乾燥にかけてもいいけど、外で干した方がいい匂いがするのだ。濡れたシーツを抱えて中庭まで移動する。物干し竿をかけるには背が足りないので、布団干しを広げてシーツを干す。やっぱり良い天気だ。布団も一緒に干してしまおう。
土方くんの部屋に戻ると、今から張り込み場所に向かうらしい土方くんと鉢合わせた。頑張ってね、と言うと、再放送ドラマの録画を言付けられた。そういえばそれもしないとだった。土方くんを見送って、布団を抱える。結構重いなあ。少しよたつきながら、布団干しまで運ぶ。足元が布団で見えなかったが、ちょうど通りがかった原田くんが掛け布団を持ってくれた。

「ありがとう、原田くん。ついでに干してくれると嬉しいなあ。」
「はいよ。見廻り当番のやつら、そろそろ集まってるぜ。」
「じゃあこれ干したら行こっか、原田くんも見廻り当番だったよね?」
「ああ。」

土方くんは毎日、朝礼で局中法度の五ヶ条の確認とその日の連絡事項を伝えている。今日はそれより早くに出てしまったから、副長補佐である私の役目になったのだった。一日の挨拶に遅刻してぐだぐだにするわけにはいかないので、手早く布団を干して集合場所に向かう。連絡事項は何だったかな。
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