確定消すな  



 
我妻善逸
 善逸の泣き顔が好きだった。涙と鼻水
に濡れた汚ならしい顔がどうしようもな
く見ていられなくて、ずっと見ていたか
った。修行が辛くて泣いていた時の顔も
女にこっぴどく振られて泣いていた時の
顔も好きだけど、一番は私に弄ばれて泣
いている時の泣き顔がたまらなく好きだ
った。誰よりも優れているせいで誰より
も敏感な善逸の耳を食み、わざと水音を
立てて舌を動かし、吐息をたっぷりと絡
ませた声で名前を呼べばまるで陸に上げ
られた魚のように体を快楽に震わせなが
ら泣く事しかできない善逸の姿はとても
可哀想で、可愛かった。絶え間なく与え
られる刺激に恐怖を覚えた善逸が拒むよ
うに首を振る度に溢れた涙が敷き布団に
小さな染みを作る。落ち着かせようと涙
と汗で濡れた頬を撫でてやれば、涙の膜
によって美しく揺れる欲に蕩けきった瞳
が私を見上げる。その泣き顔のなんと欲
情的で嗜虐心を刺激される事か。もっと
泣かせたい。他の誰でもなく、私の手で
泣く善逸の泣き顔が見たい。抑える事の
できない黒く穢れた感情に突き動かされ
るまま、私は善逸の耳に食らいついた。



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