確定消すな  



 
葛葉
 背中に回された葛葉の細い腕が震えて
いる。けれどそれを指摘すればいつもと
同じ態度で否定されるとわかっていたか
ら、なにも言わないまま大人しく頼りな
い腕に抱かれることにした。
「葛葉」「なんだよ」
 別に?と誤魔化して葛葉の背中に腕を
回す。薄い胸板に顔を寄せて隙間なく体
を密着させると、体温の低い葛葉の体が
私の体温と混じり合って少しずつ温まっ
ていくのを感じた。
 吸血鬼と人間が一緒に生きられる時間
は限られている。そんな現実を少しでも
惜しいと感じてくれているのなら、葛葉
にそう思わせることができた人間が私な
のだとしたら。
「……んふふ」「変な笑い方すんな」
 きも、と呟かれた言葉とは裏腹に私を
抱きしめる腕の力は増していた。



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