少しの余裕も残してやらない


「ツェ、ッド」

ほんの少し唇を離した間に発されるセシルの声。いつもと違って艶のある声に、もっとこの声を聞きたいと思ってしまう。もう十分唇と舌を味わったが、まだ足りない。先程よりも激しく舌を絡ませると、たどたどしくも舌を絡めてくる。ぎゅっと強くツェッドの衣服を握っていたセシルの手からだんだんと力が抜けていく。 壁に押しつけたまま、左手をセシルの中に忍ばせていくと、柔らかな身体がびくりと反応する。それでも唇はツェッドに奪われたままで声を発することは出来ない。時折口から漏れる吐息が、かろうじてツェッドに残っている理性を崩していく。ここまで激情に駆られるとはツェッド自身、微塵も思っていなかった。思いもよらないセシルの告白を受けて、胸に秘めていた感情が一気に吹き出してしまった。気が付いたらセシルを壁に押しつけ唇を奪っていた。いつもは強気なセシルも、ツェッドの行動に驚いたのか、それともそれを望んでいたのか、ツェッドの為すがままになっていた。いよいよセシルの指先から力が抜け、ずるりと滑り落ちていく。

「……貴女が欲しいんです」

想い焦がれた人が自分の手の中にいるという事実がツェッドの思考を惑わせる。熱い耳朶を甘噛みし、そっと囁くとセシルは震えながらもツェッドの背中に手を回してきた。そのまま首筋に唇を寄せ、強く吸い付いて紅い痕を残すと、それがまるで所有の印に見えてツェッドはひどく高揚感を覚えたのだった。



少しの余裕も残してやらない - 恋したくなるお題「微エロなお題」 - ツェッド・オブライエン

〜2016.11.16




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