恥ずかしい、でも、好き


ライナーに一泡吹かせてやろうと意気込んで組み手に取り組んだものの。
攻撃は空を切って、カウンターで盛大な足払いを食らい。
顔面から地面に激突して鼻を打ち付けてしまった。

「っ……いったあ……!」
「おい、そんな単調な攻撃が通る訳ないだろ?」
「うっさいわね!」

赤くなってしまったであろう鼻を隠しながら、彼の方を見ると。
さりげなく手を差し出してくれていた。

「……セシルのことだから、今日は機嫌が悪かったんだろ?」

ああ、バレてる。
彼は見た目に似合わずとても気の利く人だ。
それをいつも痛感する。
私の我が侭すら彼は笑って受け入れてくれる。
そんな彼に自分のイライラをぶつけてしまう自分がとても嫌なのに。
感情がコントロールできなくて、結局彼に当たってしまう。
お願いだから、もう少し、あともう少しだけ。
この関係でいさせて欲しい。




prev next
back