昨日、ここに着いた頃は、こうして政宗と想いが通じ合うなんて思いもしなかった。
エンジンをかけて、ギアを握ると、政宗がそっと手を重ねてくる。
「ダメだよ、運転中は。危ないもの」
「Shit!馬だったら、お前を抱き締めて走れるのに」
「流石に馬に乗って家には帰れないもの。我慢してね」
そう言うと、政宗は少し拗ねたような顔をして、窓の外を眺めた。
「やることなくて退屈だよね…。帰りの首都高は銀座の方を通って行こうかな。夜景が綺麗だよ。江ノ島の夜景もいいけど、東京も結構いいよ?」
「Okay. 楽しみにしてる」
少し車を走らせると、政宗は車の中で流れている歌を口ずさみ始めた。
「知ってるの?」
「ああ。お前のパソコンに入っていたから」
You were born to be my baby.
Baby, I was made to be your man.
We've got something to believe in, even if we don't know where we stand.
Only God would know the reasons, but I bet he must have had a plan.
'Cause you were born to be my baby.
And baby, I was made to be your man.
「いいな、この曲。初めて聴いた時は軽く聞き流してた…」
ミラー越しに政宗を見ると、機嫌が良さそうに薄く笑っている。
「まるで俺達みたいだな」
「え…?」
政宗はフッと笑うとまた歌い出した。
サビの部分が終わって、ニヤリと笑うと私を見つめる。
「お前との出会い…。偶然だとは思えねぇ。いや、思いたくねぇんだ。お前は俺と出会うために生まれてきて。そして、俺はお前と出会うために生まれてきた。俺達は離れ離れになる運命だが。それでも……。神なんて信じちゃいなかったけど。きっと、この世には神がいて。そして、俺達を出会わせた……。You are my destiny. 遙……お前を愛してる」
熱っぽい視線で囁かれ。
頬が熱くなっていく。
私は堪え切れずに、車を路肩に止めた。
「政宗…。運転中にそういう事言わないで、お願い。ドキドキして集中出来ないよ。帰れなくなっちゃう」
「いっそこのまま帰れなくなればいいのにな。俺も……。お前も……」
政宗は私の肩を引き寄せ、少し強引に唇を奪った。
少し性急で。
そして、酷く熱かった。
キスの合間に漏れる吐息が熱くて。濡れていて。
政宗の想いが伝わってくる。
どれほど私を想ってくれているのか。
どれほど離れ離れになる事に心を痛めているのか。
これほどまでに惹かれ合っているのに、別れなければならないなんて。
別れなければならないのに、こうして政宗と出会う事が運命だったのならば。
もし、私が政宗と出会うために生まれて来て。
そして、政宗は私と出会うために生まれて来たのならば。
運命って何て残酷なんだろうと思った。
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