元々可憐な顔立ちで、聡明な顔つきをしているが、ふとした仕草に匂い立つような色香が漂うようになった。
グッと腰を進めると、一際甘く喘ぎのけ反る。
肘から先を窓に押し付け、快楽を堪えるように震えている。
華奢な背中に浮き出た肩甲骨が綺麗で、指先でなぞると遙は甘い喘ぎ声を上げて身体がビクリと跳ねた。
elegantなdressで、先程まで清楚な姫といった出で立ちだった遙が着衣を乱して俺の腕の中で乱れている。
ほっそりとした首から背中、腰の辺りまで露になっていて、たくし上げられたdressの下から遙の白い肌がのぞいている。
ほんの少し肌蹴ただけなのにこうして交わっている。
それが堪らなく俺の情欲を煽った。
大切なのに。
慈しみたいのに。
時々手酷く壊してしまいたくなる。
「いい眺めだぜ」
ふとそう漏らすと、遙が上がった呼吸で咎める。
「やぁっ…そんな事言わないでっ…」
遙の肩越しに宝石を散りばめたような夜景が広がっている。
その前で白い遙の背中が幻惑的に揺れている。
眩暈がしそうなほど艶っぽい光景だった。
俺は遙の耳元に唇を寄せた。
「世界の中心でお前を抱いている気分だぜ。宝石を散りばめたみてぇな眺めだ。一番綺麗な宝石は、遙、お前だ。You're my treasure…」
そう囁くと、遙のナカがキュッと俺を締め付けた。
遙は恥ずかしそうに頬を染め、腕に顔を埋めている。
こんなに濡れた表情をしているのに恥ずかしそうにしている遙が愛しくて、苛めたくなる。
わざと腰の動きを緩慢にして、浅く穿ちながら背中に指先を滑らせると、遙は焦れたように腰を揺らした。
抱けば抱くほど、俺の身体に馴染むかのように感度が上がっていく遙が愛しい。
もっと俺を求めろ。
「いつまでもこうしてお前を抱いていたい。あと何時間もこうしてお前を焦らしてお前の吐息を感じていたい」
耳元で囁くと遙は吐息を漏らして震え、そして俺を振り返った。
「いやっ!もう焦らさないでっ!…やんっ!」
濡れた瞳で抗議するように見つめる遙の腰を引き寄せ、深く穿つと一際甘い喘ぎ声が上がる。
花芯を愛液で濡れた指で愛撫しながら、またゆるゆると腰を動かし始めると、遙は甘えた拗ねたような声でねだる。
「やんっ…はぁっ……いやぁ…政宗、お願い……このままはいやぁ…」
遙の甘えた声に腰が疼く。
遙は甘く喘ぎ、びくびくと震えながら、ねだるように腰を揺らしている。
これも無意識なのか。
それとも計算のうちなのか。
本当に抱いている時は、遙は時折小悪魔のように俺を煽る。
遙が陥落するのが先か。
俺が陥落するのが先か。
遙を煽っていた筈なのに、いつの間にかこのまま目茶苦茶にしたいほどに俺の方が煽られている。
「お前の『イヤ』は相変わらず腰にクるな。どうして欲しい?言わねぇとこのままだぜ」
体内で暴れている熱にどうにかなりそうで、こめかみを一筋汗が伝っていく。
グッと堪えて殊更に意地悪く言うと、遙は頬を染めて俺を振り返った。
そして、涙が零れそうなほどに瞳を潤ませ、消え入りそうな声で囁いた。
「もっと激しく…壊れそうなくらいに…して…。政宗が欲しい…」
俺を求める言葉にふつふつと背徳的な悦びが湧き上がって来る。
普段は清楚で可憐な遙が、俺の手で淫らに乱れて俺を求める事に、征服欲が満たされていく。
こんなの間違っているのに。
時折どうしても目茶苦茶に蹂躙したくなる。
それを受け入れる遙が愛しくて。
「遙、お前は可愛い」
そう囁くと、また遙のナカがキュッと締め付けて欲望に火が着く。
遙の唇に掠めるようなキスを落とすと俺は遙の腰を抱え直して激しく突き上げ始めた。
ずっと遙を焦らしながら、俺自身も焦れていた。
壊れるくらいに抱きたいと思っていた。
優しくする余裕なんてなかった。
だから、遙が、壊れるくらいに抱いて欲しいと言ってくれたのが嬉しかった。
部屋に互いの荒い吐息と、濡れた音が響く。
遙は快楽に身を任せ、あられもなく甘く喘いでいた。
俺だけに乱れる遙が愛しくて、激しく突き上げると、遙の息が更に上がっていく。
「はぁっ…あ、あっ、もうっ、もうっ…!…あああっ!!」
遙が大きく喘ぎ身体をビクリと震わせるとナカが一際締め付け、俺も遙をきつく抱き締め、精を放った。
遙の身体を清めると、ドレスを脱がせ、抱き上げるとベッドに横たえた。
俺も服を脱ぎ、遙の隣りに滑り込むとそっと抱き締める。
まだ余韻が抜けないのか、遙の呼吸は浅く速く、時折身体を震わせる。
結い上げられた髪を解き、抱き締めながらゆっくりと髪を梳いてやると、遙は俺の背に腕を回して抱き付いてきた。
呼吸が段々と落ち着いて行く。
「キスして」
遙が俺の胸に頬を寄せてねだる。
抱き寄せてそっと唇を重ねると、遙の唇から甘い吐息が漏れた。
「もっと…」
遙はねだるように俺の首に腕を回して唇を重ねてきた。
焦がれるように柔らかく唇を食まれて、また身体が熱くなってくる。
俺も遙を抱き締め、深く唇を重ねた。
「また止まらなくなるぞ」
唇を離して囁くと、遙は拗ねたような表情になった。
「だって政宗、今日あまりキスしてくれなかったから…」
そう言って俯く。
少し苛め過ぎたか…。
小さく笑って遙の顔を上げて、そっと何度も何度も唇を重ねると、愛しさが込み上げて来る。
二人同時に甘い吐息を吐きながら唇を離して見詰め合うと幸せな甘酸っぱい気持ちでいっぱいになっていった。
「昨日嫌いって言ってゴメン。政宗、愛してる」
俺の額に自分の額をくっつけて、遙が視線を落とす。
「あんなに酷い事をしてもか?さっきだってお前、本当は嫌だっただろ?」
遙は頬を染めると、それを隠す様に俺の首筋に顔を埋めた。
「……嫌じゃなかったよ。私が無神経だったのがいけないの。ゴメンね。……それに、政宗優しいから…。酷い事しても、ちゃんとこうして抱き締めてくれる。それに、本当に酷い事はしないもの…」
十分酷い事をしたのに、と思うと苦笑いが込み上げて来る。
「政宗、どうしたの?」
「いや、十分酷い事しただろ?」
「恥ずかしかったけど…。でも、それだけ。本当に酷い事って言うのはね……」
遙はそこで言葉を切った。
瞳が哀しそうに揺れている。
「嫌なら無理に言わなくてもいい」
「ううん、そうじゃなくて…。ちょっと思い出していただけだから。前に抱かれるの怖いって言ったの覚えてるかな?」
初めて遙を抱いた時。
あまり抱かれた事がないから怖いと言っていた。
「あれは、あまり抱かれた事がなかったから怖かったんだろ?」
「本当は違うの。抱かれるのが苦手だったの」
そう言って俺の胸に頬を寄せる。
「男の人って…抱くだけ抱いて、弱いところを攻め立てて、散々喘がせて。そして、終わったらさっさとシャワー浴びて着替えて寝ちゃうんだもの。まるで性欲の捌け口みたい。だから、抱かれるのが嫌だったの。恥ずかしいし、愛されてるって感じた事ない。何だか酷い事された気分になるの」
俺と重なる。
今まで抱いてきた女達にはそうしてきた。
情なんて湧いた事がなかったから、自分の欲が満たせればそれで良かった。
「政宗はちゃんと後でこうして優しく抱き締めてキスしてくれる。sexは好きじゃなかったけど、政宗となら気持ち良いって思えるようになったの。政宗が私を愛してくれてるって感じられるから」
「俺だって今までの女達にはお前の前の男みたいにして来たぜ。愛しくてずっと抱き締めていたいって思うのはお前だけだ」
「……何か今までの女の人達が可哀相……」
遙はまるで自分の事のように哀しそうな顔をした。
遙は俺が思った通り、精神的な繋がりを本当に大切にしている。
そんな所も愛しくて。
遙の頬にそっと手を当ててじっと瞳を覗き込む。
「俺がお前にするみたいに今までの女にしていれば良かったのか?」
「やだっ。そんなの嫌…。妬いちゃうから…」
縋るように見上げる遙に笑いかけてそっとキスを落とす。
「心配すんな。俺が愛した女はお前だけだ。そしてこれからもお前だけ。他の女に優しくする気になんてなれねぇ。こうして抱き締めるのもお前だけ」
遙をきつく抱き締め、また唇をそっと重ねる。
幾度も幾度もキスを重ねるとまた次第に熱を帯びていく。
遙は俺の胸に手をついて少し身体を離した。
「政宗…。明日早く出ないといけないんでしょう?もう寝ないと」
「No way!明日もここに泊まりだ。時間は気にする事ねぇ。明日はゆっくり午後からお前の服買いに行こうぜ。今晩はさっきの分までゆっくりお前を愛したい」
遙は驚いたように目を瞠った後ふわりと微笑んだ。
「政宗様には敵わないな」
「独眼竜は伊達じゃねぇ、you see?」
また縺れ合うように抱き合い互いの温もりを分かち合う。
いくら抱き合っても足りない。
俺達は今日一日抱き合えなかった時間を埋めるかのように空が白むまで肌を重ねた。
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