何の気なしに歌っていただけなのに。
政宗が真剣な眼差しで問いかけてくるから。
もう、ずっと抑えていた想いが溢れ出して。
それでも、まだ伝えるべき時じゃないから。
せめて政宗の誕生日を祝ってからと思っていたから。
私は好きな人がいることを仄めかした。
告白するって決めていたけど。
振られるのも分かっていたけど。
でも、それが怖くて。
政宗の反応が見たかったんだ。
私に好きな人がいるって知ったらどういう風に反応するか。
もし、政宗も想いを寄せてくれているのなら、少しは反応があるはず。
もし、私の考えている通り、政宗の世界に愛する人がいるのなら、きっと、私の恋心を優しく笑って祝福してくれる。
政宗は……。
うっとりするような、綺麗な、優しい笑みを浮かべ。
私を応援してくれた。
きっと、政宗には、他に好きな人がいる。
だから、こうして応援してくれる。
私は告白する前に、最終宣告を受けてしまった。
江ノ島が見えるお気に入りのレストランを予約したけれど。
その江ノ島に行くことはないかも知れない。
だって、私はこうしてもう政宗の心を知ってしまったのだから。
恋心を封印して。
そして、楽しく政宗の誕生日を祝おう。
愛しい政宗が生を受けたこの日を精一杯祝おう。
家に帰ったら。
お風呂に入って、いっぱい泣いて。
そして、涙と共にこの恋心を洗い流してしまおう。
私は、ハンドルを握り締めて、前を見つめた。
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