03


リールは適当なノートを取り出してきて説明を始める。
どうも、自分の好きなジャンルに関しては饒舌になるタイプらしい。
技科専門用語が乱立し仕組みをゼロから教えようとするものだから、技術分野が得意ではないシュカなんかは頭の上にハテナを飛ばしていた。

まあ要するに言うと、

『以前に電話のような魔化製品を作ろうとしたが、届く範囲が狭くて使い物にならないとボツにした。学園内くらいならなんとかなるかもしれない』

ということが言いたいようだった。
電話よりも制約は大きいようだが、リアルタイム情報交換ができない現在のこの世界では物凄い発明といえるだろう。……これは、エミル副会長がリールを『天才』と呼ぶのも分からないでもない。

「……凄いな、発明しちゃったわけか」
俺が嘆息すると、リールは照れたように笑って答えた。

「作ったはいいものの、使い道が、分からなくってボツにしてたものだから……こういう機会が、あってよかったよ」

「いやいやいや、スゴイよリール!」
シュカが目をキラキラさせて称える。リールは褒められ慣れていないのかわたわたしながら言った。

「今夜から、作り始める、よ。前日までには、5機くらいなら、つくれると思う。前日の、放課後に、テスト運転しよう……ただ……」

リールの表情が少し曇る。

「問題点も、ある。これもボツにした、理由のひとつなんだけど……」

リールは言う。
5機を繋いでいる関係上、『会話』ができない。
連絡を受けることは出来るが、応答するためにはもう1度繋ぎ直さなくてはならない。

元の世界で例えるなら、
「もしもし、オレオレ」
「誰だい?」
「オレだよオレオレ」
「おお、太郎かい?」
「そうそう太郎だよ。実は事故っちゃって……」
というやり取りがしたければ台詞ひとつごとに電話を切って相手方からかけ直さなければならない。
面倒くさい。が……

「なるほど確かにめんどくさいけど……このゲーム内ではやり取りをする必要は無いな。1度の発信で連絡が5人全員に行き渡るならむしろいい機能ともいえる」

俺がフォローすると、シュカ、サーシャ、アルバも頷いた。
アルバが軽く手を挙げて発言する。

「通信手段に関してはリールで解決だな。ありがたい。……でも俺が思うに、問題はもうひとつある」

俺も含めた4人の視線がアルバに集まる。

「位置の説明がめちゃくちゃしづらい。たとえば、俺がサーシャにサーシャの相方が見つかったと連絡するとする。でも森の中って目印がほぼないだろ?四方どこを向いても木しかない。どうやって場所を説明すればいいんだ?」

なるほど、確かに。目印のない場所で口頭で場所を説明するのはなかなか難しいものがある。
4人で考え込んでいると、

「……あっ!」

声を上げたものがいた。
サーシャである。


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