00.本日にて終幕、暗転

死にたくて、死にたくて、仕方なかった。

 生きていてもいいことなんて一つもなかった。死んだ方がずっとずっとマシだと思っていた。もしかすると一つくらいはあったのかもしれないけれど、そうだとしても思い出せないくらい小さなことなのだろう。思い出せないくらいなら、どうだっていい。だから、死にたかった。すべてを終わらせたかった。

 私のことを娘とも思っていない親も、私よりできないのに雑用を押しつけていじめをしてくるクラスメイトも、優秀な生徒より学内ヒエラルキーのトップにいる不真面目な生徒の味方をする教師も、そんな私に寄り添うふりをしてワンチャンを狙ってくる男も、すべてが煩わしい。私に直接関与するものにかかわらず、毎朝吠えてくる隣の犬も、優先席で騒ぎ立てるサラリーマンも、近所の拗らせた中学生も、ちょっと街に出たときの雑踏だって、全部、全部全部全部。

 皆、死ねばいいのに。この世から皆、泡沫のように消えてしまえばいいのに。いや、やはり私が死ぬべきだ。ここにいるのも疲れてきた。どうせこんな環境、変わることなんてないのだから。

 でも、私には死ぬ勇気がなかった。
 すべてを終わらせる覚悟もなかった。

 でも、神様がチャンスをくれたから――




 私は死ぬことに、成功した。







 グシャ。


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