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▼2019/03/11:お気に入りの過去の記事


春が二階から落ちてきた。
伊坂幸太郎『重力ピエロ』より


今年の春は来るのも早く、終わるのも早い気がする。
桜も咲かぬまま梅雨入りみたいな今週の天気で、なんだか春が近い内に無くなってしまうような気がしてならない。
春は私が生きている間に落ちなくなってしまうかもしれないと思うと、もう今から少しだけ寂しくなる。

寂しいついでに、ブログ代わりにやっていたインスタグラムの3年前の記事を先日発掘したので記録として再掲しておく。
自分で言うのもアレなのだが、定期的に書くアレは自分を客観視出来て凄く面白い。こんな記事もう書けないよー泣けるってなったお話です。



歯医者さんの最後の溜息一つで僕の頑固だった部分が簡単に破られる。
「これ抜かなきゃダメですよ」
親知らずと僕の戦いは1年にも続く激しい攻防戦を繰り広げ、先日の歯医者さんの言葉で終戦を漸く迎えようとしている。めでたいことにこれで大人の歯を抜くのは6回目だ。
「80歳までに歯を20本残そう!かばさんコース」に入っているのに、20代で早々に遅れを取ることとなってしまった。
抜歯を5回もこなせば抜かれるプロではあるが、痛いことは何度やっても慣れない。数日にも亘る痛みの記憶と、ろくにご飯が食べれないことや謎の高熱、更には麻酔による強烈な眠気などの思い出が祟って、抜歯に向う足取りはとてつもなく重い。
痛いのは嫌なんですよ、僕の静かな訴えも歯医者さんの前では無慈悲に砕かれ、ついでに親知らずも粉砕された。

始めて親知らずを抜いたのは確か20歳の頃、ネットで検索しても「抜歯 痛い」「親知らず つらい」とネガティブキャンペーンよろしく恐怖しか沸かないブログの結果ばかりで、本当に未知の痛さにビビることしか出来なかった僕は、ぎりぎりまで歯医者さんに怖いと訴え続けた。
「そんなに怖がることないけどなあ。怖いなら寝てる間に取ろうか?」
「寝てる間 #とは 」
寝てる間に抜歯なんて怖すぎて言葉を聞いただけで冷や汗が止まらない。起きたら宇宙人に脳を改造されていたり知らない町にいたらどうしようとか、しょうもない妄想を繰り広げていたらすべてがどーでもよくなり、「やっぱり今取って下さい」と、やっと決意した。歯医者さんは笑い声を上げたが、目は笑っていなかった。

そんな焦りに焦った前回と変わらず、今回もそのままあっさり抜かれた。
帰宅する時に粉砕された歯を渡されたが、ものの数分で紛失してしまう。1年という長い付き合いだったのに別れは突然であった。




抜歯から結構経ったが、そろそろ「ヤツおやしらず
」が出るなら出てもいい頃なので、生えるなら生えるで色々イベントがある秋ぐらいまでにはもういっそ生えて頂きたい今日此の頃。

という発掘した記事の再掲でした。
おしまい。






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