ディオ「弟を送り届けてくれたことには感謝しています。
で?いくら欲しいんですか」

サイ「そうだな、とりあえず手元の一割と言ったところかな?」

ディオ「・・・意外だな、お人よしそうな顔をしている割には言う事は言うのですね。
いいですよ、僕にとっては安いぐらいです」

サイ「ここで、お礼なんていらないと言ったら君は今よりも警戒するじゃろう?
ふふ、その顔、図星と言ったところか。稼ぎの一割を安いとはよほど大事なのじゃな」

ディオ「あたりまえです、僕の家族ですから」


見れば見るほど、ディオに似ているこの少年。
嘘か真かはわからないその笑顔と言葉、先程の暴言すら焦っていたため取り乱してしまったと私に対し謝ってくるほどだ。
同い年の弟とは違ってしっかりしているのは、私と同じ「兄」という立場にあるからか。
しかし、話すうちに性格や嗜好まで似ていることがわかり、親近感がわくとともに気になるのは本人の方。

はぐれるなんて思いも知らなかった。
この人ごみ、勿論その危険性は十二分にあったのだが、いままで、ディオが私の傍を離れることなどありえなかったからだ。

しかし、今はこの妖猫の少年に出会えたことに感謝すべきかもしれない。
すくなくとも、先程からコインを咥えては彼に渡してくる猫を見るかぎり、縦横無尽に街を走り回り視覚以外からも探せるこの子たちに託すしか他はないのだ。


サイ「それにしても晃は大丈夫か?
いくら危ない目にあったからと言って、さきほどからきつく抱き締めすぎじゃぞ」

ディオ「・・・彼は怖がりで弱いんだ、こうして僕が守ってあげなければ、怖がって町を出れなくなるかもしれないからね」

サイ「そうか?・・・私には君の方が恐れているように見えっ・・・
と、すまないフフフ、そんなに睨むでない、怖い怖い、フフ」

ディオ「知ったかぶるのもやめてくれませんか?
見た所失礼ですが僕とさほど歳も変わらないでしょう?」

サイ「(そういう君の弟も、いや君の弟の方が君と歳が近いように見えるがのぉ)
失敬失敬、どうも君と話していると安心するんじゃ」

ディオ「奇遇ですね、僕もです」

サイ「(嘘じゃな)」

『ごめんな さい・・・やっぱり 僕 一緒 探し 行くます!!』

ディオ「ダメだ!!さっきのヤツが起きてお前を探してるかもしれないだろう!」

サイ「そうだよ、それに君が謝る事じゃない」


慣れない英語を離す彼に彼の凍てついた空気が一気に温かくなった。
この時の彼が、あまりにもディオに似ているのだから、先程のようにからかってしまったのだ。
我ながら大人げなかったとは思う。


『・・・・・・』

「にゃーぅ」

『!!おとうとさん!!みつかった!!!』

サイ「なに!?」

『[この子が見つけたそうです!他の猫が一緒に歩いているから匂いですぐに後を追えるって!
どうやら弟さんもサイさんのこと探しているみたいです!!]』

サイ「[ディオは無事なのか!よかた、あぁなんて礼を言えばいいか]」

『[そんなっ此方こそ助けていただいてっ、あぁはやく行ってくださいまた見失う前に!!この子が案内してくれます!]』

サイ「[そうか、ありがとう!]
すまないディオ君、どうやら私も探していた弟が見つかったようだ、先に失礼するよ」

ディオ「えぇ、どうぞ、またお会いしたらゆっくり話しましょう」

サイ「ふふ、その顔は二度と会うものかと言っているがな?では、また会おう二人とも!」


私は足元の猫を見失わないように人ごみを掻きわけて走って行く。
人通りが少なくなった道で、先程まで隣にいた金色の髪と同じ、金色が見えた。


サイ「ディオ!!あれ?ここは?」

「兄さん!!早かったね、どこ行ってたんだい?」

サイ「早かった?何を言って、二時間は・・・あれ?」

「二時間?兄さんいきなり裏路地に走り出すから驚いたけどすぐ戻ってきたし、なにかお金になりそうなものでも落ちてたの?」

サイ「裏路地?すぐに?・・・私は・・・化かされでもしていたのか」


周りを見れば、
私は人ごみの声がいつの間にか聞こえなくなっていたことに気づき。

後ろを振り向けば
着たはずの大通りではなく
そこはディオと別れる時に入った道

晃と出会った暗い路地裏へと続く道だった




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