童話 人魚姫
海の底で暮らす人魚の一族ジョースター家の兄弟、ジョナサンと晃は、兄であるジョナサンに連れられ、海面の様子が見える岩礁まで父親である人魚の王に内緒で遊びに来ていた。
ジョナサン「ほら、ここのサンゴが・・・どうかしたの?晃。
ずっと上を見ているけど」
『うん・・・海面が、見たことない色で光ってるんだ』
ジョナサン「あぁ、花火だね。陸の王子が今日が誕生日だって聞いたな」
『リク?』
ジョナサン「そっか、晃はまだ15歳になってないから陸に上がった事が無いんだよね。
もう少ししたら海面の上に連れて行ってあげるよ」
『うん・・・』
SW「ジョースターさん!お父上が探してましたぜ!エリナ嬢が来られたようで、急いで戻らねぇと!」
ジョナサン「なんだって!?エリナを待たせているならすぐに戻らないと、ここにきている事が知られたらもっと怒られるっ!帰ろう晃!」
『僕は泳ぐの遅いから、ジョナ兄さんだけ先に帰って?』
SW「晃さんはこの俺が責任を持って送り届けます!」
ジョナサン「そうかい?じゃあ僕だけ先に帰っているよ」
そう言ってシャチ型であるジョナ兄さんは猛スピードで帰って行った。
僕は折角だからこの光をもう少し見てから帰ろうと思うので、カニのワゴンさんを肩に乗せてゆっくりと水中を漂う。
『あれ?さっきまで色とりどりだったのにオレンジ一色』
SW「きっと炎ってやつですね。船が燃えているんでしょう。」
『ふね?ほのお?』
ワゴンさんはカニなので、良く地上に出て人間の生活を見ることもあるらしくとても物知りだ。
僕が地上の生活について聞いたり、海に落ちてきた道具を見せればだいたいの事は教えてくれる。
でも、そのたびに人間は怖い生き物なんだという話も一緒にされるのだけど。
SW「人間が乗る乗り物で、海の上に浮かべるんです。人間は海の中では息が出来なくて、空気が吸えなくて死んじまうんですよ。炎ってのはですねー・・・」
『Σだれか沈んできてる!』
SW「やべぇ!人間だ!早く逃げますぜ晃さんっ!おわっ晃さん!?」
肩に乗せていたワゴンさんを水中に投げて急いで人間の元に泳いでいく。
さっき人間は海の中じゃ生きれないと言っていたんだ、ならあの人間は急がないと死んでしまう!
海水浴って海に入る事もあるから、海に入ったらすぐ死んじゃうわけじゃないにせよ、早く助けてあげないと!!
『(僕のひらひらな尾ひれじゃスピードは出ないけど、一人かかえて水面にでるくらいなら)』
SW「いけねぇ晃さんっ!人間に姿を見られたらあんたら人魚は何をされるかっ!!
戻ってくるんだ晃さあああああああん!!!」