童話 白雪姫
王宮の寝室で、友人のプッチを招き、互いに本を読みながらふと、一つ、思いついた事を聞いてみる。
彼は行儀よくテーブルにティーセットを置き、そのイスに座りながら暗い部屋を唯一照らしている窓の隙間からの光で本を読んでいる。
窓の隙間からは、外で遊ぶ白雪の笑い声がかすかにこの部屋に届いている。
かく言う私は、その隙間の光が当たらぬようにベッドの上で横になりながらまた別の本を読んでいた。
王がこのような姿を他人にさらしている等知ったら、ヴァニラあたりはどう思うのだろうか。
いや、奴なら嫉妬でプッチに攻撃しかねない。
そうなってしまわぬよう、後でヴァニラには言い聞かせておこう。
DIO「なぁプッチ・・・。この世で一番私を愛してくれているのは、誰だと思う?」
本に顔をあげないまま横眼で声をかけた私に、彼は律儀にも本を閉じて机の上に置くと、私の方に体ごと顔を向けた。
困ったようなあきれたようなそんな笑いが聞こえたが、予想通りの反応だとこちらも笑みを漏らしてしまった。
プッチ「それを私に聞くのかい?そうだね、君は多くの人に愛されてるけど・・・難しいね」
DIO「所詮はこのDIOの力や容姿、権力にひれ伏しているだけだ。
お前は神のように私を愛すると言ってくれた。お前が一番じゃないのか?」
きっと、彼は自分だとでも言いそうだと思って問いかけた質問なのだが、意外にも少し嬉しそうに顔をしかめて困っているようだった。
自分でしておいてなんだが、こんな馬鹿げた質問にも彼は本気で答えを出そうとしてくれているらしい。
プッチ「勿論、私が一番と言いたいが、君はそれを望んでいないだろう」
DIO「・・・」
プッチ「だから難しいと言ったんだ。悔しいが、君が望む愛は私とは別の種類の、彼からの愛だろう?」
言われて気がつく。無意識のうちか、この質問が頭に出て、あまつさえ口にしてしまっていた時点で、私はまだあのお姫様に飢えているのだろう。
こうして手元に置いているというのに、それだけで満足はしないようだ。
DIO「・・・どうすれば手に入る」
プッチ「それもまた、難しい質問だね。
おや、もうこんな時間だ、そろそろ晃を呼んでくるよ」
こんどは少し真剣に聞いてみると、また同じように苦笑いをされ、部屋を出て行かれた。
当たり前だが、方法は自分で考えるしかないということか・・・。
彼の言う通り「愛」を彼から「もらう」為には並大抵のことではない。
彼の「体」でもなければ、壊れた「心」でもないのだから、
力ずくだろうが薬をつかおうが、ましてや殺すなんてもってのほかだ。
恐怖での支配すら方法のうちに入らず、むしろそれらはタブーな行為と言ってもいい。
窓の外で日の光を浴びながら動物たちと戯れる彼を見るために、行動できる夜に寝て、日の光が差し込まぬように厚く閉ざされた窓の少しの隙間を、遠くから見つめる。
彼はこの私の体を気遣って、大好きな庭で遊ぶ事を我慢し、よくこの部屋に来てくれているのだが、こうして私の友人が来る日には思う存分外で遊ばせている。
プッチに「このために呼んでいるのか」と言われた時に、それも目的の一つだといえば彼は笑いながら「私も晃君と外で遊んでこようか」と意地悪を言われた。