エリナの話を聞いたジョジョはすぐさま屋敷へと戻る。
目的の人物は探す必要は無く、ロビーで紅茶を飲みながら優雅にも読書をしていた。
いつもの彼ならばこの時に弟の姿がいないかを確認するだろうが、今の彼にはそんな余裕すらなかった。
いや、もし本当に弟の姿があって、彼の目に入っていたのならこのように相手にいきなり飛びかかる真似はしなかったのかもしれない。
ここに気にかけるべき相手がいなかった事も相まって、ジョジョの怒りに満ちた頭を冷やすものは無かった。



ジョナサン「ディィィオォォーーーーッ」

ディオ「人の名を!随分気安く呼んでくれるじゃあないか。
それに、思いっきり握り締めている拳!一体それで、どうする気だ?」

ジョナサン「決して許さないッ!君の僕に対する嫌がらせではない!
僕の事などどうでも良いッ!」

ディオ「ほほう!さては聞いたな。あの愛しの、エリナの事を!
そして鉄拳による報復に出る事を考えたわけかッ!」


ただならぬ形相でこちらに殴りかかろうと上着を脱いで走ってくるジョジョを見たディオは、不敵な笑みを浮かべ立ちあがる。


ジョナサン「彼女に対する侮辱が許せないッ!」

ディオ「ジョジョ!見苦しいぞ嫉妬に狂った姿はッ!」


ディオは、ジョジョがはなった左ストレートを右腕で流し、懐に入り込むとすぐさまその腕で肘をジョジョの顔面へと付き入れた。


ジョナサン「グッうがぁッ」

ディオ「また、この前のボクシングのようにされたいのか?マヌケがァ・・・!」


ディオはそのままグリグリとジョジョの鼻をつぶすように肘を擦って押しつける。
その力の差にジョジョは後ろによろけて壁へと背を付け倒れてしまった。


ジョナサン「(か・・・敵わない・・・
で・・・でもここで負けたら、これから一生、ディオの影でオドオドと生活しなくてはならない!
何よりも、エリナの名誉を取り戻す為、戦わなくてはならない!)」

ディオ「(徹底的に叩きのめしてやるッ!
それも、正々堂々とな!そうする事によって、「自分はもう、このディオには勝てない」という事を、ジョジョ自身の体で覚えるからだッ!
喧嘩でも人生でもなッ!そして晃にこれ以上近寄らせはしないッ!)」


ジョジョは再度立ち上がる、ディオは自身も上着を脱ぎ、ジョジョにとどめを刺すべく構えなおす。
ジョジョは拳を握ると一直線にまたディオへと走る。


ジョナサン「うぉぉあああっ」

ディオ「こいッ!」

ジョジョが両腕をディオに向け殴りいれると、ディオはジョジョの右腕をクロスした両腕で衝撃を和らげ、受けとめた。
そして左腕を、体を後ろに反らせてよけると同時に体重を乗せた右足でジョジョの側どう部に向かって膝を入れる。


ディオ「良いぞォ!新たな力が湧いて来る。良い感触だッ!」

ジョナサン「うっ!ぐぅうッ!!」


ジョジョは蹴りを受けたにも関わらず、その痛みに恐れることなくディオの頭と肩をその握力で掴んだ。


ディオ「こ、こいつ、蹴りを入れられて、掴んでくるとはッ!
もう一撃欲しいかッ!


ジョジョはその掴んだ腕を、その両腕を、自身の防御の為になど決して離す事はせず、強烈な頭突きをディオの顔面へ
計らずとも人体の急所である人中に当たり、軽い脳しんとうと呼吸困難がディオを襲った。


ディオ「うげぇええええっ」

ジョナサン「ディオォォオオ――――――ッ」


膝を折り膝まずきそうになるディオに、ジョジョはその怒りを止めることなくラッシュを何発も顔面に食らわせていく。
その衝撃でディオは倒れることなく後ろへ後ずさっていく。


ディオ「(こ・・・こんな)」
ジョナサン「君がッ!」

ディオ「(こんな)」
ジョナサン「泣くまで!」


ジョナサン「殴るのをやめないッ!」
ディオ「こんなカスみたいなヤツにこのディオがッ!」

ジョジョの右腕が渾身の一撃でアッパーをディオの顎に食らわせると、ディオの体が空中へと浮き、そのまま床へ落ちて倒れ込んだ。


ジョナサン「ハアハアハア。」

ガシャーン
『いつっ』

ジョナサン「!?」


物音と声に後ろを振り向くと右腕を怪我した晃がジョジョのすぐ後ろにいた。
足元には壁に飾ってあった仮面がいくつもの鋭利な針を出し、血に濡れて床に転げ落ちていた。
位置からして落ちてきたのはジョジョの頭上、しかしジョジョにはかすり傷一つなかった。


ジョナサン「まさか晃、この仮面から僕を庇ったのか!?」

『っけんか・・・だめだょ』

ジョナサン「っ!!!(なんてことだ、兄を殴っていた僕を晃が庇ったんだ。
だがしかし晃にはこの事を知って欲しくない。兄と慕っていたものが今まで僕に何をしていたのかっ。エリナに何をしたのかなんてっ)」


晃の辛そうに涙をためた目と表情に、頭に登っていた血が引いていくのを感じたジョジョは、これ以上続けることに怯んでしまった。


ディオ「よ、よくも・・・。よくも」


見つめ合ったまま止まっていた二人が、ディオの声にハッとなって視線を向ける。


ディオ「よくも!この僕に向かって・・・」
ジョナサン「な、涙・・・」

ディオ「この汚らしい阿呆がァ―――――ッ!!」

『だめっ!!』


ジョジョから見えない位置でナイフを取り出し、足を踏み入れてジョジョにナイフを向け向かうディオに、いつの間にか晃が立ちふさがり隠すようにその腕のナイフを掴んだ。


ディオ「晃っ何故俺の邪魔をす
ジョージ「三人とも、一体何事だッ!」

ディオ「ッ!!(ジョースター卿!!まさか晃はこの事に気づいてっ)」

ジョナサン「父さんッ!」


ディオは慌てて晃の手に自身の手を優しく上から乗せると、晃はゆっくりとナイフを離し、すぐさまディオはナイフを素早く後ろに隠した。
晃の手には、仮面で出来ただけではない傷ができており、それに気付いたディオは自身の起こしそうになった過ちに苦虫を噛み潰したような顔になった。


ジョージ「男子たるもの、ケンカの一つもするだろう!
しかしジョジョ、今のは抵抗も出来なくなったディオを一方的に殴っていたように見えた!紳士のすることではないッ!」

ジョナサン「え?ち・・・ちが
ジョージ「言い訳無用!晃はそんなお前を仮面から守ったのだぞッ!
部屋へ入っとれッ!二人ともだ!後で二人とも罰を与える」


睨みあう二人の間には、晃が交互に二人の顔を見ては、困惑した表情を隠しきれないで立ち竦んでいた。



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