朝日に目を覚ますと一緒に寝ていた子ネコの寝顔が目の前にあった。
いつになく眠りが深かったせいで、まだ夜中ではないかと錯覚してしまったが、
頭もはっきりしていて、自分が子ネコの体温に安心し熟睡していたことに驚いた。
今後は気をつけよう。夜だからと言って、いや、夜だからこそ警戒しなくてはいけない。


ディオ「さぁ、飯にしようか。昨日と同じものでも大丈夫か?」

『ミュウ!』

ディオ「・・・(いや、何を確認する必要がある)
ふん、もらえるだけでも有難いと思えよ」

『ミ』


・・・とはいっても、正直パンと水だけではこの猫の毛並みは鈍っていくだろう。
そこらへんのネズミでも捕ってくるか、それもあまり食わせたくはないが。

今後の生活についても考えねば。大人しく部屋にいるように言い聞かせても実際に言う事を聞く保証もなければ、父親に見つかる可能性も少なくない。
幸い、物は少ないながらも子ネコが隠れるスペースなどいくらでもあるので、俺以外には姿を見せないように言い聞かせ、様子を見る事にしよう。
しかし、普通の猫とちがって言語がわかるのはいい。
ましてや、食事姿を見ても知能が高いことがうかがえる。


ディオ「マナーがなっているな。昨日もそうだが、もっとボロボロボロボロ汚くこぼすものかと思っていたが」

『ミュウゥ』

ディオ「さぁおいで、足の手当てをしてやろう」

『ミァウ』


足の包帯を取り変えるために猫を膝に乗せる。
俺の脚は、まぁ後でもいいだろう。
どうやら後ろ左足の方が深く刺さっていたようで、もしかしたら傷が残るかもしれない。
この完璧な猫に傷を付けたものが憎らしい。


ディオ「さてと、お前の名前を決めようか。いつまでも猫のままじゃあ呼びづらいしな」

『ミィー』


手当ても終わり、布を洗うために一旦部屋を出る。
ふと、名前を何にしようか考えていると猫が言葉を理解している事を思い出す。
自然に話しかけているためなんとも思わなかったが、名はすでにあるのかもしれないので、できればその名の方が本人もいいだろう。
それよりも文字がわかるかも確認したい。文字を書くことは難しいだろう。
ならば・・・と、行ったん部屋を出て紙とペンを探しに行く。
部屋に戻ると猫は包帯だらけの前足で苦戦しながらも毛並みを整えていた。

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