整理
人間になってからも俺の役に立ちたいから知恵を貸してほしいと言われた時には、その健気な顔に俺一人で食わせて行けるようにならねばと誓った。
かといって、家で待たせている間に勝手に外に出て、変な仕事に捕まったり良からぬ輩に狙われたりしても困るので、一緒に靴磨きの仕事に連れて行く。
上手く話せない幼い弟がいて、母はすでに死んで、家には病気の父。そんな身の上話をすれば捕まる客からはチップが弾むし、それを晃に見せて晃が猫を抱えたまま嬉しそうにたどたどしくお客にお礼を言えばさらに金額が増えた。
猫どもも、人間の姿でも猫耳さえあれば晃にお金を集めて持ってくるので、晃の行動範囲が増えた今では食費が増えたにせよ衣服等を節約すればそこまで苦しくはなかった。
その衣服も俺のお下がりを晃が着る姿は何ともほほえましかったし、晃も新しいものを買うより、俺のものをもらえる方が嬉しいと言ってくれた。
今日も薬を買いに行くためオウガーストリートへと赴く。
勿論晃は人通りの多い場所で猫と遊ばせて(本当は金を集めているが、通行人にはそうとしか見えまい)。
「ぼうやの耳・・・おもしろいホクロあるね」
ディオ「・・・」
いつも通り店主と思われる中国人から薬を買い取ると、仮面では隠されていなかった左耳の特徴について声をかけられる。
「わたしの祖国 占い盛んね。わたしの国でそれと同じほくろを持つ人前にも見た事あるね。
彼は波乱の人生を送ったが183歳まで生きたね」
正直話の内容はどうでもよかったが、特徴を知られるのは避けたかった。
まぁ、これだけで身元がばれる事もないし、この中国人にも利益も無いだろう。
さっさとこの店から出ようと背を向けてもこの中国人は話を続けた。
「ただの占い 遊びね!気にしない気にしないヒヒヒ!
その薬今回が最後でいいよ。誰に使うのかは知らないけどねヒヒヒ」
今回が最後・・・後は待つだけだ・・・。
夜になり人通りの少なくなった道で晃は大人しく猫と待っていた。
この薬でやっとこの生活から救われるのだ、いや、これは俺がやらなければいけない事なのだ。
ディオ「この薬は健康な人には毒だから、間違っても晃は飲むんじゃあないぞ?」
『うん、わかってるよ。おにーちゃん』
晃はそんな俺を何もかもお見通しのように俺に笑いかけてくれた。
今起きている事などなにも知らない天使のようでもあり、俺の心すら見透かし、全てを理解し受け入れる悪魔のような甘さがあった。
どちらにしても今の俺には心強かった。
その日、英語の勉強がてら猫耳なしの晃に、本人が見つけてきた小説の話しを発音に注意しながら読んでいると、丁度主人公の女がメイクによって人格も体格も変わるという少し晃に似ている(人格は変わらないが)場面で父に咳交じりに俺の名前を呼ばれた。