1、人間になると猫と人間の言葉が理解できない。
(これは、猫と人間による脳の関係ではないか、記憶は共有されるらしい)
2、人間になる事は出来るが気を抜くと完全な人間になれない。
(ほっとした時や、物音などで驚くと出る。帽子を買い与えれば問題ない)
3、変身すると腹が減る。
(変身することで何らかのエネルギーが消費されるらしい。普通の量で約半日、寝てる時間は猫なので間食をすれば大体は問題ない)
4、変身できるのはあのときの青年の姿ではなく、少年の姿だと言う事。


ディオ「やはり、どれだけ食べてもその姿にしかなれないのか」

『etto、nekomimihayasiteiidesuka?』


本人は11歳前後だと言うが、身長はまだしも顔が幼いし、中性的だ。
女の子だと言う方がしっくりくるほど可愛らしい顔をしている。
これは帽子を深めにかぶせれば隠れるので変な輩に目を付けらないように注意しないといけない。

今後については兄弟と言う事にしようとも思ったが、髪の色も違えば顔も違うし、近所にいきなりこの年齢の兄弟がいましたは、なかなか説明が面倒だったので、
所詮、周りの人間にはいい子で通っている俺は、経緯があってこいつを保護した事にすることとした。
おぼつかない発音も生まれのせいに出来るし、逆に耳がある時に普通に話さないようにしておけば、矛盾も生じない。
そんなことを注意すれば、この程度で俺の事を頭がいいとたどたどしくも嬉しそうに言ってくれたので、呆れながらも満更ではなかった。

あの父親も病気にして動けない分、晃をいやらしい目で見ながらも手出しはしなかった。
いざとなったらこいつを高値で売ればいいとも言っていたので、投げた酒瓶を晃がつかむことにいら立ちながらも必要以上に怪我をさせないようにしていた。

どうやらァィゥェォやヴの発音がうまく出来ないようで俺の事を「ディオDio」ではなく「でおdeo」と呼んでいたようだった。
スペルの違いを教え、何度か練習したが、猫だった子供に人間の言葉は難しいのだろう。


ディオ「なら、兄として俺を呼べばいい」

『あに?んーじゃあおにーちゃんだね!』

ディオ「・・・(きゅん)」

『おにーちゃん、いやぁ?』

ディオ「ううん、おにーちゃんでいいよ」


やっと呼んでもらえた様な、少しくすぐったい思いがした。
今でも覚えているのは、最初の頃ためしに俺に言いたい事がないかと聞いた時に、たどたどしく「だいすき」だと言ったことだった。その時も同じように胸がうるさくて、息苦しくて、だけど嫌悪感がなくて、もっと聞きたいと思った。
頭を撫でれば猫の時のように気持ちよさそうにする晃に、猫の時よりももっと分かり合えた気がした。


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