なんと、あのまま美少年にだっこされてお家に到着した晃です!
足大丈夫なのか少年!めっちゃ血が出てるんですけど!?
僕より自分の心配しようよと言われた言葉を返しますよっ!

そりゃあ今の僕は猫だから重くはないだろうが、
さすがに何もしないのは嫌なので、猫らしく少年の指の傷でも舐めておきます。

実はあの後、野良にゃん子たちは大人しく散り散りに帰って行きました。
きっとこの美少年が追っ払ってくれたんでしょう!
子供なのに眼光鋭いからねっ!

連れてこられた部屋では、「我慢しろ」と言われて、何をと考える間もなく足に走る激痛。


『Σっーーーー!!!』

少年「我慢できたのか。えらいな」


ガラスを引き抜かれた衝撃に声にならない悲鳴を上げて動けずにいると、テキパキと手当てしてくれる少年。
終わったのか頭を怖々といった感じでなでられると、猫の性かすりよってしまう。
少年の足も含め、手当てが一通り終わると、少年の分の水とパンを少年の手から少しずつ貰った。


少年「それにしても不思議だなお前は。いったいどこから来たんだ。飼い主はいるのか?」

『ミュー?ミィーミィーミィー(いやね?自分でも分っかんないんだけど、何の夢なんだろうね)』


優しい瞳で見つめてくる少年に、夢だから通じるかもーなんて猫語だが返事をしてみる。


少年「フフフ、返事をしているのか?」

『ミュウ(おう!)』


まぁ通じはしないし、動物と人がお話しできるファンタジーな夢でもないようだ。
僕も面白がって、少年の質問に頷き、そのまま会話を試みると、少年の目が一瞬好奇心で揺らいだ。


少年「まさかお前・・・本当に俺の言葉がわかるのか?」

『ミュー(わかるよーわかりますともー。もとは人間だし)』


少年に言葉が通じる事がわかってもらえると何かと面白いんじゃないかと思い、
今度は普通の猫ならしないほど、何度も首を縦に振った。


少年「ほぉ・・・ならば話すことは出来るか?」

『ミャウゥ(それは出来ないんだよねー)』


今度は首を横に振ってみる。
どうやら少年には言葉が通じる事は伝わったらしい。
さすが夢!ふつー猫が話せるって知ったらこんな冷静じゃないよねー。
いや、まず信じないか。


少年「だろうな、さきほどからその愛らしい鳴き声しか聞いていない」

『Σミャウ(あいっ!?///)』


おおおおう。そうだよな!子ネコの声だもんな!!
少年相手にドキッとすることを言われて焦ったが、今の僕は子ネコでしたそうでした!!
そりゃ可愛いよ!子ネコだもの!うん!けっして僕は可愛くないけどね!


『(だから心臓静まってくれっ)』

少年「なんだ、照れたのか?フフフ本当にお前は人間のような奴だな」

『にゅぅ(もうー)』


からかわれたとわかって拗ねた声を出しつつも、
笑いながらも僕の喉を撫でる少年に、自然と喉がゴロゴロとなってしまい、
さらに笑われては顔を赤くする。(毛があるからわかんないよね?)

さっきののほほんと、少年と戯れているといきなりガラスか何かが割れる音と、誰かを呼ぶ怒鳴り声が聞こえ、身を固くした。


少年「チッ」

『??;(び、びびった。なんだろう、泥棒かな)』

少年「お前は大人しくここにいろ、いいな」

『ミ、ミュウ(は、はいはい;)』


さっきまでの優しい目が一変して冷たい目に変わった。
あんな顔して・・・家族じゃないよな?マジ泥棒?新聞の勧誘とか?それはイライラするわ―。
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