俺のベッドに寝かされている晃は出会って間もないころのような少年の姿へと変わっていた。
その珠のように綺麗な肌には血が流れ、幾つもの痣がある。
口からも血が流れ出てしまっているところを見れば、内臓もやられているようだ。
上下に動く胸を見ればかろうじて生きている事はわかるものの、その痛々しい姿には目をつぶってしまいたくなるほどだ。

吸血鬼になる間の血も味わってみたかったがここは石仮面をすぐにでもかぶせるべきだと判断し、すぐに顔の上に仮面を乗せ、俺の手首を己の爪で切り付けそのうえに血を垂らす。
が、石仮面は発動し骨針をだしたものの、上手くはいかなかった。
屋敷の時のように、石仮面とは違う光が晃を覆ったからだ。
はじき出されたかのように石仮面は吹き飛ばされ床を転がって行った。


ディオ「なにっ、晃の体が石仮面を拒んでいるのか!?
しかし、屋敷にいるときは弾きだされる事はなく確かに針は刺さっていたはず・・・」


ならばすでに吸血鬼に?しかし、意識がなければ血を吸うこともかなわないだろう。
しかたない、一か八か俺の血を飲ませてみよう。
まずはその口を開けさせるために、やわらかい唇に俺の舌を入れて優しく開かせる。
吐血している晃の血が俺の舌に触れ、口に入った瞬間!
得も言われぬ快感が俺を襲った!

甘く、豊潤で、熟成しきった年代物のコクのあるワインのようでもあり、
積み立てでみずみずしく、甘酸っぱさの残る摘みたてのオレンジのようでもあり、
ドロドロに砂糖と水飴で溶かされた完熟したイチゴのジャムのような。

晃の口についていた少しの血だけで、丸で度数の高い高級ウイスキーをロックで瓶一本を一気に体の中に流し込まれたかのように焼けるような快感が体を駆け巡る。
気付けば己がつけた腕の傷どころか、ジョナサンに付けられた火傷の傷も疲れも全てが完璧に治っている。
少なくとも寒地にはあと10数人の生き血は必要だと踏んでいたのだが、最初から晃の血を少し貰っているだけで全て感知で着ていたのだはないかと思えるほど、俺の体には力があふれてきた。
自分の血を試しに飲んで見た時は、確かに味は違ったがこうはいかなかった。
晃だからこそなのだろうか・・・いや、晃だからだ。
この俺の味覚に合い、体を癒し、そして心を満たす・・・。

血が無くなった後も晃の口内をそのまま犯し続けていると、いつの間にか晃の舌も俺に反応するように動いている。
そうだ、目的を忘れてはいけない。
それに、痛みに顔を歪める晃よりも、快楽に溺れる晃の方が見てみたいものだ。

俺は、自身の舌を牙で噛み切り、その血を直接晃の中へと流し込んだ。
晃が、俺の血を飲んでいる・・・。
それだけでも俺の体が反応してしまうのがわかるが、それ以上にかみちぎった舌すらも晃の口の中でくっつき、再生しようとしている事がわかる。
晃の血の効果か、なんというエネルギー量!
一滴でこれなのだから、この体についた血を少し舐めとるだけでも更に俺は力が手に入るのだろうか。

いや、一滴でさえこのありさまだ、これ以上は危険かもしれない。
今にも晃をすぐに抱いてしまいたい衝動にかられる。
晃の血に酔ってしまったせいか、俺も体がうまく動かせない。
ビリビリと痺れるような感覚が襲うが、倒れるまではいかず、晃をこの腕の下に寝かせたまま様子をうかがう。


『ん・・・う・・・。
おにぃ・・・ちゃん・・・?』

ディオ「(傷が治っている。どうやら、吸血による回復は出来るようだな)
晃・・・大丈夫か?」

『うん・・・ここは・・・?』

ディオ「俺の部屋で休ませている。
傷は痛むか?まだ体が動かせないか?もう一度、俺の血を飲むか?」

『うん・・・だるい・・・かも。血?・・・いらない。
眠いよ兄さん・・・』

ディオ「そうか、ならば少しこのまま眠っているといい」


気だるげな晃の頭を撫でてやれば、微笑むように目を閉じ、そのまま眠りついていった。
吸血により傷も治った、どうやら吸血鬼にすでになっているようだ。
晃の顔を撫でた時に己の手についた血を我慢が効かずにじっとりと舐めとる。
先程と同じ豊潤な甘い美味な血の味。
しかし、先程とは違い、そこまでのエネルギーを感じなかった。
そこらの人間一人分よりはあるが、あの焼けるようなエネルギーはいったい・・・?

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