最愛
ディオ「例えば・・・だ。たとえば・・・この美しい花だ。君は花で言えば丁度このぐらいの若さと言える。
よーく考えてみたまえマドモアゼル。この花はこのまま咲き盛ってしまえばあとは枯れ行くのみ・・・。悲しいとは思わないかい?」
晃の傷も回復し、俺は晃の為に食料の選別を始めることにした。
ゾンビどもが捕まえてきた晃と同じ黒髪の美しい女は、他の食糧とは別にしてある。
とはいうのも、晃が来ない間はこれらを弄んでは気を紛らわしていたのだが、もうその必要もないため、こいつらもゾンビにしてしまおうと思う。
勿論「無理強い」はしないが。
「彼女は16歳、正真正銘の生娘!生命のエネルギーがみなぎってておいしそーっでしょ?
ディオ様ァ〜ウャャヒャヒャヒャァァーッ」
実験体風情が、俺のペットにでもなった気でいるのか膝の上でゲスな事をほざく。
晃が来て必要価値が無くなったのは、この女どもだけではないというのに。
ディオ「チッ(こういう手合いもある意味で美しいと思って犬と人間の死体同士を合体させて造ったのをそのままにしていたが・・・。
所詮はただの偽物。到底晃には似つかないか)」
そのままそいつの腹を蹴り上げ、踵で床に落とし頭をつぶすと、目の前の女はその光景に目をそらした。
よもやこの生物がかわいそうだと思ったわけではあるまい。
自分も同じ運命をたどるのだと、恐怖し、その運命から目をそらしているのだ。
ディオ「礼儀を知らん者は生きる価値なしだな・・・。
どうだい、マドモアゼル・・・一つ選択してくれるかね?
今のままの若さで、永遠を楽しみたいとは思わないかい?
とは言ってもだ・・・このディオ、友情を押しつける類の輩とはちがうのでね・・・。
君の自由意思、君の運命は自分で選ぶんだ」
「・・・ケ・・・ノ」
ディオ「え?聞こえないよ?」
女に優しく甘い声でそう言って顔を近づけると、左ほほに平手を食らった。
もちろん、避けるのにわけないが、それが彼女の意思だとするならばはっきりとさせておいた方がいい。
そう、もう後戻りは出来ないのだということを。
「あ・・・貴方は永遠に呪われている。ば、化け物よ!」
化け物、そう・・・俺は、いや。俺達はもはや人間から逸れた存在。
俺は、吸血鬼になったことでやっと、晃という存在に近づく事が出来たのだとさえ思う。
・・・以前俺の隣に立つのは晃が相応しいと言ったが、隣に立つのにふさわしくなったのは俺の方かもしれない。
しかしそれは、晃の隣には俺以外はふさわしくないということでもあり、優越感が心地よい。
己の牙で切れた口内の血を舐めとると、先程の晃との甘く深いキスと、俺の血を欲するように動いていた舌を思い出す・・・。
あぁ・・・寝ている姿でもいい、もう一度、晃に会いに行こう。
ともあれ、この女は自ら選んだのだ。
俺の手の中で、精気を吸われ咲き誇る事もなく枯れていくつぼみの薔薇と同じ運命を。
ディオ「え〜、出会ったばかりでもうお別れとは、遺憾に思うが紹介するよ。
彼の名は怪人ドゥービー。
このディオがお気に召さんのならあとは彼に相手してもらうとい・・・」
しかたない、これでこの館にいるすべての女どもは晃の食事にも、口に入れるのに相応しくないと判断した。
やはり、晃の口に入る血は、晃の体内に飲み込まれる血液は、この俺のモノだけが相応しい。
この俺は晃だけのものであり、晃は・・・最愛の弟は、この俺だけのものだ。