最愛
ううー体中が痛い・・・ような気がする。
あれ、痛くない?いや、やっぱいたかった麻痺してるだけだった痛かった!!
あれか、さっきまで気絶してたから痛覚まで覚醒してあれ、顔の上に何かかぶされてる感じ?
『(じゃまだなぁ・・・)』
ディオ「なにっ、晃 が石 を る か!?
し にいる 弾き 事は かに て・・・」
あれ?ディオ兄さんの声?えっと、僕なんで気絶したんだっけ・・・。
やばい、体中痛い、貧血みたい・・・血が欲しい・・・
血が欲しい・・・
『(いっそのことトマトジュースでも・・・あ、鉄分ならレバーとか肉の方がいいのかな。
・・・鰹が食いたい、刺身で)』
思考がうまく働かないのかどうでもいい事ばかり考えてしまっているようだ。
口の中に暖かいモノが入ってくる・・・。自分の舌をヌルヌルとはわせる何かを、抵抗できないままそのまま受け入れてしまっている。
なんだこれ、なんか・・・頭がふわふわする・・・。どこか、覚えがあるような・・・?
その答えを求めるように自分の舌が勝手にその何かを探るように舐めている。
味?感覚?どこか、落ち着くような、落ち着かないような・・・。
僕の口元から漏れ出ていた相手の吐息が上へと離れると、今度は口の中いっぱいに血の味が広がった。
ディオ「ハァッ・・・んうっ」
『んっ・・・(わー血だー。鉄分補給だー・・・)』
正直正気だったら有り得ないが、僕はそれを美味しいと、もっと欲しいというように喜んで呑み込んで行った。
不思議と、貧血のような症状も、体の痛みも消えて行くのがわかる。
血の味がすべてなくなった後も、口の中の何かはずっとあって、意識が少しはっきりしてきて目を開けると、目の前にディオ兄さんがいた。
『ん・・・う・・・。
おにぃ・・・ちゃん・・・?』
ディオ「晃・・・大丈夫か?」
『うん・・・ここは・・・?』
そういや、ここどこだ、僕お屋敷に戻ってきたのかな・・・。
痛いのは無くなったけど、まだ眠いや。
ディオ「俺の部屋で休ませている。
傷は痛むか?まだ体が動かせないか?もう一度、俺の血を飲むか?」
『うん・・・だるい・・・かも。血?・・・いらない。
眠いよ兄さん・・・』
なんだーにーさんのへやかー。
ち とかー 何?いらないー。
ねむーい・・・。
ディオ「そうか、ならば少しこのまま眠っているといい」
懐かしい兄さんの手に安心して僕はまた意識を手放した。
・・・お腹すいたから起きたら何か食べよう。