次に目が覚めた時は、ワンチェンが俺の首をもちかえり、漁師の船の中に逃げ込んだ後だった。


晃は・・・


ディオ「晃はどうしたワンチェン!晃はっ晃は!!晃っ」

ワンチェン「お、落ち着いてくださいディオ様、まだやっと意識を取り戻すだけの回復しかっ」

ディオ「晃っ晃!あいつはっ」

ワンチェン「首の切断面から出血がっ、何度も申し上げた通りッ晃様はご無事ですっ。
あの時は貴方様の救出を最優先にっ、体が大きくなられた晃様は目立ち過ぎてしまうので私の腕では運べずッあ奴らの元におりますっ!!」


熱など持たなくなった体が、あの火事の火傷すら超えるような、自身の熱にうなされるかのように、目覚めてからずっと俺は晃の名前を叫んで暴れていたらしい。
傷口などすぐふさがるはずの首からはいまだ血が滴り落ち、そこら中のモノが破損散乱していた。

何度目かのその言葉を聞いて、俺は自身の首が切り離されたことにやっと気付く。
あの時、あの状況。
波紋を纏った晃が俺の首をはねた時、それでもいいと思った。

殺されてもいい、死んでもいい

だから・・・落ちる晃が無事なら、俺が下敷きなって・・・灰になって・・・。
まさか、俺がそんなことを思う日がこようとは・・・。

あの日から数日たっており、晃を探させていたゾンビたちは、その後も町で潜んでいたため、そう言った奴らを何人か呼び戻し、それぞれの町から何人か人間を攫ってきた。
何十人か血を吸っても体は蘇らない。火傷をしていた時のような催眠術や、最後に発した体液すらもまともに出せない。
これは、新しい肉体を接げ変える必要があるようだ・・・。

そして、晃の血が・・・

晃自身が


ワンチェン「ディオ様、怪物のような姿になるとはいえ所詮はただの人間。
なぜそこまで・・・」

ディオ「・・・」


何故だろう。
血が美味いからか・・・?力をくれるから?
あいつがいると全てが上手くいくような気がして・・・だから横に置いておきたいのか?

最初はただ、そう、借りを作りたくなかった。
上手く使えば、役に立つと思った。

何故だろう、家族だと、俺の内に入れたのは・・・。
一人が寂しかたっとか、温もりが欲しかったなどと言ったやわな感情はない。

いつからだろう・・・そう感じたのは。

何故だろうなぜ・・・晃のぬくもりを受け入れたのは。
嫌いだった、そんな貧弱なモノを、まるで嫌悪していたそれらとは別なものとして大切に思うようになったのは。

今でもそのような他者からの愛情など吐き気がするが、晃のそれは違う。
愛情などと言う言葉では言い表せない何か。
何故だろう、いつから、何故。


ディオ「俺の命を差し出すことすら、心地いいと思ったのは・・・
それに疑問すら、感じなくなったのは・・・」


それからさらに後日、何人の人間を襲ってもこの傷はいえることなく、ジョジョの結婚のニュースが入ってきた。
そしてその次の日には新婚旅行、新聞にも書かれていなかった「弟」もついて行くと言った異例な情報は俺の耳にもすぐに入った。

そして、その後の屋敷立て直しの際にもその「弟」の部屋も。

異常と言うべき兄弟愛にやはりと言うべきか、ジョジョも晃を愛し、ともに生きることを許された人物だったのだろう。



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