エリナ「ジョナサン!」

ディオ「ぬ・・・妙な動きに気をつけろ!いったん退け!・・・こいつは、最後の最後に何かやるのかもしれぬ!」

ワンチェン「テメーッ脳ミソを指ですくい取ってくれるッ!このウスノロめ!」


化け物を一撃で殴りとばしたあと、ジョナサンの体は後ろに倒れ、私はすぐにジョナサンの元へと駆け寄り、頭を支え上半身を抱き上げた。


ディオ「な・・・なにぃ。こ、これは・・・ワンチェンの体にジョジョは何かしたのだ!
波紋はワンチェンの体を破壊せず体組織の機能を狂わしたのか!
ワンチェンは操られたように機械をガッシリつかんでいる。
そ・・・そしてワンチェンが掴んで止めようとしているのは!船の外輪スクリューシャフト!
ゾンビの怪力ならシャフトの動きを止めることは可能!シャフトが止まればピストン内の上記の逃げ道はなくなり、圧力は高まる一方!
圧力が鉄壁の耐久度を超えた時・・・!船は爆発するっ!」

エリナ「おおジョナサン。こんなこと!!・・・こんなまさか・・・なぜ?」

ジョナサン「に・・・逃げ・・・る・・・んだ。エリナ。この船を・・・ば・・・爆破・・・させる・・・」

エリナ「私にはいったいどんな事態が起こっているのかわかりません・・・。
だって・・・想像を超えていて泣けばいいのか叫べばいいのかそれとも気を失えばいいのかわからないのですもの・・・。
でもいえる事はただ一つ。
エリナ・ジョースターは・・・貴方とともに死にます」


私の腕の中にいるジョナサンに口づけを落とす。
この唇のぬくもりの中には・・・ああなんてこと、「死」の実感がある・・・。
ジョナサンジョースターは死ぬんだわ。

でも・・・二人一緒ならずっとこうしていたい・・・。
船が爆発し、なにもかも燃えてしまうまで・・・。なにもかも消えてしまうまで・・・

流れ出る涙は、ジョナサンの顔へと落ちる前に、ジョナサンの指で拭われる。
そして、その指は、私の後ろ・・・そう、今も泣く赤ちゃんを指さした。
それを意味する事は何か。私にはそれがわかってしまった。


エリナ「あっああ!」

ジョナサン「泣いてくれても・・・いい・・・。
でも・・・君は・・・生き・・・なくて・・・は・・・ならない・・・」

エリナ「ああ!う・・・美しすぎます!
見ず知らずの女性と赤ちゃんを救って避難しろとおっしゃるの?・・・。
うう・・・私にとってそれは残酷なる勇気!わたくしの最後の希望は貴方とともに死ねる事なのに・・・」

ジョナサン「あの母親・・・は・・・子供をかばって・・・。
僕の・・・母・・・も・・・そう・・・して・・・死・・・んだ。
だけど、・・・彼女は・・・生き・・・て、いる。晃の繋いだ命が・・・赤子と母親を・・・。
あの人達を・・・つれて・・・早く・・・。
晃を・・・見つけ・・・一緒に・・・生きて・・・」

エリナ「(晃・・・)」


彼が繋いだ命、彼の意志でもあると言うのですね。
私の手を、黒猫の幻影がすり寄った。
意を決してジョナサンから離れ、赤ちゃんの元へと行こうとした時、ディオが船の天井へとまるで生き物のような髪を使って上っていた。


ディオ「船ごと爆破させようとする思い付き!ジョジョ!最後の最後まで屈服しないヤツよ!
しかし!それはこのディオも同じこと!
俺は生きる!何が何でも生きる!きさまの肉体とともにな!
おいゾンビども!波紋に操られているワンチェンの実体を喰ってしまえ!そしてピストン運動を再動させろッ!」


私が赤子の元へとたどり着く前に、船の爆発は始まってしまった。


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