序幕
12月の寒い冬の中、その日はとてもいい天気で、その季節の中でもとても温かかったのを覚えています。
その日、私は新しい命、ジョナサンと私の子を出産しました。
ジョナサンの死後、落ち込んでいらっしゃった義父様も大変喜んでくださり、ツェペリ男爵も傷ついたお体に鞭を打ってお祝いに来てくださいました。
そして本日は、スピードワゴンさんに連れられて、エミリーがお見舞いに来てくれて、初めての男の子の誕生をお祝いしてくれました。
エミリーの腕には、あの赤子だった女の子がすやすやと気持ちよさそうに眠っています。
スト「おめでとうエリナさん」
SW「いやぁほんとめでてぇ!!元気そうでなによりだぜエリナさん!!」
エリナ「有難う、みなさん」
エミリー「ほら、産後は大変なんですから。ゆっくり休んでもらいましょう」
スト「そうだな、私たちは先にお暇するよ」
エリナ「わざわざ遠いところから有難うございます」
エミリー「命の恩人のご出産とあれば、どこからでも飛んできますわ。
じゃあまたねジョージちゃん。うちのエリザベスと仲良くしてね?」
そういうとエミリーさんとストレイツォさんはエリザベスちゃんを抱いて病室から出て行きました。
エミリーは、あの事故の時神父様がかばってくださったおかげで、あの後無事一命を取り留めました。
エリザベスが一人さびしい思いをせずに済んだ事を、「彼ら」にとても深く感謝していると、会うたびに伝えてくれます。
皆が病室から出て行き、スピードワゴンさんと二人になり、ジョージ2世もぐっすり眠って、元気に育っています。
SW「あの二人も元気そうでよかった。エミリーさんも体が弱い方だが、波紋の効果でだいぶ良くなってきているようですぜ。
それで・・・その・・・」
エリナ「晃ですよね?そこの窓で日向ぼっこしていますよ?」
SW「おぉ、本当だ!気持ちよさそうに眠って・・・」
エリナ「・・・」
SW「・・・あったけぇな」
スピードワゴンさんが籠の中の晃を慈しむように撫でています。
陽の光の中、猫と言うには大きい、昔のダニーより大きい、黒豹かライオンのような姿のまま、彼は眠り続けていました。
あの後、爆発の残骸の中、奇跡的にも彼はこの獣の姿で私たちとともに発見されました。
大きな猛獣を船に乗せる事を渋る船員をなんとか説得し、晃を引き上げると同時に、
まるで晃の無事を確認するかのように私たちの乗っていた棺桶は海底深くへと沈んで行きました。
トンぺティ老子に見ていただいた時、彼の体には波紋という力が渦巻いており、それによってあの爆風の中無傷で無事だったのではないかと言うことでした。
しかし、それは前代未聞でもあり、もともと不思議なお話なので到底理解に及びませんが、彼は普通の治療も波紋でも目覚めないまま、生きていると言うことだけはわかりました。
そしていつ目が覚めるかもわからないまま。
月日は残酷にも過ぎて行きました。