二話
さっきの彼は一体誰なのだろう。私が美術部員であることも、スランプ中なことも知っていて、なんだかおかしな人だった。そういえば彼の上履きの色、青のラインが入っていたな。
この学校では上履きと校章の色によって学年が示されている。私達二年生は緑、三年生は青、一年生は赤だ。つまり彼は一つ上の先輩にあたる。そして彼もまた私の上履きの色を見て二年だと判別したのだろう。
「それにしても、綺麗な先輩だったなぁ…… あんなイケメンなら、噂になると思うけど……」
「確かに。でもちょっとオタクっぽいし、どうですかね」
「あっ、」
ようやく自販機で買えたサイダーを握りながらぼーっと考えているとまた背後から伸びてきた手にサイダーを取られてしまう。それに振り向いて急いで奪い返すと彼は口先を尖らせながら文句を言って私と同じように自販機でサイダーを買った。
彼は中学からの仲で、一つ年下のショッピだ。上履きの色は赤色である。
彼は夏休み中はサッカー部で活動していると聞いたが、どうして校舎の方に来ているのだろう。自販機ならグラウンド付近にもあったはず。
「練習終わったんすよ。俺たち弱小やからどうせ県も行けへんしって、形だけ来てるんです」
「ふぅん。でも、ショッピくんはサッカーしたいんじゃないの?」
「こんな暑いんじゃやる気も起きませんわ」
そう言ってサイダーをごくごくとあおるように飲む様に相当喉が渇いてたんだなと同情しながら私はあることを思いつく。
「ねぇ、着替えたらさ、社会部行ってみない?」
「え、さっきの人の言ってたやつっすか? というか、社会部なんてありましたっけ」
「私らの眼中になかっただけかもしれないし、ちょっと気になるしさ。行ってみようよ」
「……ま、いいですけど。紗絵さんこそ絵はいいんですか?」
「いいよ今日くらい。そうだ、チーノも呼ぼうよ! あいつも来てるんでしょ?」
「ああ。確か新聞部で各部活の様子を見にとかなんとか……」
「決まり! 呼びに行こ」
「その前に着替えてきますわ。流石にユニフォームじゃまずいっしょ」
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