三話
そう言ってショッピとは一度解散して、私はサイダーを握りながら階段をのぼる。
二階から三階にやってきて、図書室の隣にある小さな扉をノックすると、中から聞き覚えのある声がして呼びかけた。
すると中から顔を出したのは汗だくでワイシャツのボタンも全部外してインナーが丸見え状態の、教師が見れば即座説教が飛びそうな格好をしたチーノであった。
彼も一つ下の後輩で、ショッピの高校からの友人だ。ショッピは人を選ぶ節があるので中々友達と呼べる相手はいないのだが、そんな中でもチーノのことだけは友人だと言って紹介してくれた。
チーノは私の来訪に目をまん丸にして、それから嬉しそうに口角をあげた。
「紗絵さんじゃないすか! あっ、サイダーくれるんですか? あざーす!」
「違う! これは私の! 自分で買ってきなよ」
「えー、ケチだなぁ。それに暑くて動く気になれませんよ、こんなん」
「というか、新聞部もクーラー死んでるの?」
「え!? 美術部もっすか!? はえー、避暑地やと思ったのにぃ」
どうやら新聞部の部室も何故だかクーラーが効いていないらしく、手持ちの扇風機を首元にあてながらチーノはとぼとぼ中へ帰っていこうとする。けれど私はそれを止めて、話を聞くよう促した。何なんすか、とちょっとだけうざそうに振り返った彼に私は先程ショッピくんにした話を投げかける。
「社会部? そんなんありました??」
「でも先輩が来るといいぞって。名前は知らないし見たことない先輩だったけど、なんか気になるしさ」
「ふぅん……まぁ、新聞部の活動の一環ってことなら、行ってもいいすけど」
「本当!? じゃあ決まり! ショッピくんもこっち向かってくるからちょっと待ってよ」
「せんぱぁい、ジュース奢ってくださぁい」
「やぁだ!」
そんな言い合いをしていると後ろから軽快な靴音が聞こえて二人してそちらを見た。
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