03


編曲が為されているとはいえそのほとんどは俺の作ったメロディ。
俺は実家から出る時に持ってきていた楽譜の中からそれを急いで見つけ出し五線譜を目で追った。

ああ、やっぱりそうだ。もうしばらくピアノに触れていないが指が覚えている。昔あんなに弾いた曲。忘れるわけがない。



そんな思い出ばかりの彼女と疎遠になったのはいつからだろう。


確か、きっかけは高校受験だろうか。中学までは同じ校区内だったためによく互いの家に遊びに行って歌ったり楽曲の相談をし合ったりしていたけれど、いつのころからかお互い受験勉強で忙しくなり、そのまま自然と疎遠になった気がする。

嫌いになったわけじゃない。会いたいと思ったこともある。
けど当時の俺には彼女以外に友達なんぞいなかったために個人の連絡先なんて知らなかった。
彼女の家は固定電話じゃなかったし、そも不安があったのだ。

俺と違って沢山の友人に囲まれていた彼女にとって、俺はもう忘れられている存在なんじゃないか、と。



「忘れてくれていた方が、こっちもきっぱり忘れられたのにな」



楽譜を再び丁寧にファイリングして片付けていると、ふとそれの存在を思い出す。


机の上に放り出された一枚のはがき。


〇〇小学校同窓会、と書かれたそのはがきの欠席の文字に丸をつけていた俺だったがそれを書きかえた。

なんて未練たらしいのだろう。だけど、それでも彼女に会いたいと思ってしまった気持ちは抑えられなかった。



こんな風に俺との曲を大切に丁寧に歌い上げる今の彼女に会いたいと思ってしまった。
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