「薬研、ひとつお願いしてもいいかな」
「なんだ?」
「現世に買い物行きたいんだけど一緒に付いてきてくれない?」
「…別に構わないが、俺っちみたいなのが現世に行って大丈夫なのか?」
「それの許可おろしてもらうために昨日手紙書いてたの」
全くこの刀は、頭はいいのに察する能力はないらしい。
「ほう、でもなんで俺なんだ?荷物持ちなら岩融の旦那とか、食材選びなら燭台切の旦那とかいるじゃねえか」
「岩融は髪色が目立ちすぎるし、光忠だと人攫いみたいになっちゃうでしょ…」
「大将小さいもんな…」
「失礼ね、小さくないわ」
「俺っちより3寸ぐらい小さいじゃねえか、乱と同じぐらいじゃなかったか?」
「それはまあ、そうね」
「で、いつ出かけるんだ?流石に俺っちもこのままの格好じゃ目立ちそうだし着替えたいな」
「あー、そうだそうだ。薬研これあげる」
引き出しの中から大きめの袋を出して、薬研に渡す。
中身は現代の洋服。いわゆるネット通販で買った。
「なんか高そうなものなんだが…」
「薬研に似合うと思って見繕ってきたんだから値段とか色々気にしないの。それに着替えたら私の部屋に来て、出かけるから」
「……わかった」
薬研が部屋を出たので、私も洋服に着替える。
着るの楽だし考えること少ないから、ついつい巫女服ばっかり着ちゃうけど、ちゃんと洋服もある。
でも、現世から持ってこれたものなんてほんの少ししかなくて、これから少しづつ出かけたりネットで買っていこうと思う。
せっかく政府から許しが出たんだからね。
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