「あ…」



長期休みなのにわざわざ部活に行くという弟の見送りをしてリビングに戻ると、お弁当が置きっぱなしだった。



中学は財布持っていけないからこれではお昼に困る。あの子の中学の場所はよくわからないけど届けに行ってあげよう。





*





「…ここだ」



文明の利器であるスマートフォンを利用してなんとか北一の体育館にたどり着いた。



「……おじゃましまーす…?」



体育館のドアを開けると、休憩中だったらしく、目線が集まって怖い。



「誰だあの人」



「うちのOB?見た事ない気がするけど…」



いろんな憶測が飛ぶ中で眠そうな弟と目が合うと、いつになく大きく目を見開いた後にこちらに向かって歩いてきた。



「…姉さん」



「忘れ物、これ」



お弁当を無事渡して帰ろうとすると、ふわっとした茶髪の少年がやってきた。



「国見ちゃんお姉さんいたの?」



なんだこの面倒くさそうな人…



「国見ちゃんそんな目で見ないで!!!初対面の国見お姉さんもいきなりひどいよ!!」



「…英君、この人失礼じゃない?」



初対面の、しかも年上にいきなり敬語無しで喋りかけるってなかなか頭おかしい。



「……姉さん、この人無視していいからね」



「うん…この人まさか部長だったりする?」



「……」



「…」



英君の目はWそうだよ、信じたくないけどWって雰囲気、そうかそうか、この人部長なのか…



私も英君も顔と雰囲気に出やすいからわざわざ口を動かすのが面倒になってくる。



「…国見となまえさん、また交信してる」



「…」



英君なんで教えてくれないの、反抗期かな。お姉ちゃん悲しいな。

…金田一君もいつか遊んだ時は私よりずっと小さかったのにな。



「…金田一君」



「何ですか?」



「大きくなったね」



「成長期なんでまだまだ伸びますよ」



「あらー」



英君も金田一君も成長期なのか。



「お姉さん俺にも構ってくれない?」



「英君も金田一君も…」



ずっといてくれたいかにも運動部ですって感じのしっかりした子の名前がわからない。



「及川徹だよ!!!」



「岩泉ッス」



「あと岩泉君も部活頑張ってね」



あざっす、とか言って頭下げるのすごく可愛いと思うんだ。



「及川さん無視しないで!!!」



「…姉さん時間大丈夫なの?」



「あ……じゃあ私はこれで失礼します。うちの弟をよろしくお願いします」



おそらくレギュラー、って子達に挨拶をして体育館を後にする。



「姉さん気を付けて帰ってね」



「なまえさん気を付けてくださいね」



「国見は俺が面倒見ておきます」



英君のチームメイトはいい子そうでよかった。帰ったらお昼寝でもしようかな。



「及川さん総スルーとか悲しすぎる!!!!!」




top
ALICE+