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市内をぐるぐると歩いていたが、特にこれと言った呪力は感じずこの時間なら私も高校に行っても違和感ないかと思い合流する旨を伝えようとスマホを取り出した時だった。強い呪物の気配を感じたのは。近くには小さな花屋があり覗いてみると男の子がいた。花束を持ってどこかに行くようだった。
声をかけようとしたら、タイミング悪く電話が鳴った。恵かと思い瞬時に出ると彼ではなかった。

「美沙、今どこ?」
「…五条先生。仙台にいます」
「もしかして恵と一緒?」
「今は一緒じゃないですけど、同じ特級呪物探してます」
「ふうん」

ふうんってなんだ。何も言わなくなった五条先生に私もなんて返していいかわからなくなり、切りますよと告げて一方的に終わらせた。

「もー、見失っちゃったじゃん」

花束を持った男の子はもうどこかに行ってしまった。花屋さんにさっき来てた男の子について聞いてみたらお爺さんが入院しているのでそのために花束を買っているみたいだ。
見舞いならここら辺の大きな病院か。何ヶ所か目星は着いたが追いかけるのはやめた。強い呪物の気配は感じたがそれは特級程のものではなかったからだ。
気づけば空も夕焼けからだんだんと暗くなっていた。戻ろ、と呟き私はは恵に電話をかけることなく学校に戻った。

それが間違いだったのだろうか。

こっそりと校内を探索するものの恵らしき人はいない。迷子にでもなったのかとそれなら校門の前で待っていようかなと再び足を進めた。すっかり日が暮れてしまい門が閉められた。あれれ。どこに行ってしまったのかと今更ながらに電話をしようとスマホを取り出した。

「あっ充電切れー…っ!」

おぞましい力を感じた。つい身体が震えてしまったのが自分でもわかった。呪いを呼び寄せ肥えさせる餌、両面宿儺の指のお札を誰かが解いてしまったようだ。異常な程の呪力がどこから発しているかなんてわからない方が可笑しいぐらいだった。門を飛び越え校内に向かった。



気持ち悪い程に色んな呪いが溢れていた。思わず顔を歪む。息を潜めながら、ある一点に集中させる。うじゃうじゃいる呪いは今は無視だ。特級呪物、両面宿儺はどこにある?…、…、………、見つけた。呪いに見つからないよう地を蹴り学校に入った。

「っいや…っ」
「落ち着いて、なんてこんな状況で落ち着けるわけないか」
「っだ、だれ…、」
「大丈夫。安心して。私はあなたと同じ人間だから」

誰かを思わせるような笑顔をひとつ。しかし女の子は恐怖で怯え、ちゃんと言葉を紡げそうになかった。取り敢えず、息を潜める。この状況をどうして乗り越えようか。この子を無事に帰すことが優先だ。しかしどうやら腰が抜けて立てそうにない。おぶって脱出だなんてそんな甘いこと考えられない。ポケットの中に忍ばせている御札を握り、ない頭で考える。

さて、どうしようか。




嫌な予感がする。いや、こういう時は必ず嫌という程予感という予感は当たってきた。呪物の気配を追い虎杖を病院まで追ってきたのはよかったが、こいつが持っていたのは呪物が入っていた箱だけだった。中身は先輩が持っていて、しかも運悪く今日お札を剥がす、と。このことを美沙さんに伝えようと何度も電話をするものの繋がらない。どこまで行っているんだあの人は。市内をぐるぐると歩いてみるよ、と言っていたのに圏外にいるってどういうことだ。くそ!

虎杖に説明をしながら学校に戻るとそこはもう呪いの巣窟になっていた。急いで部室へと足を進める。するとどこからか悲鳴があがった。美沙さんのものではないが、今彼女はどこにいる?

「くそ!」

悲鳴の元へと急ごうと思っていても次々と現れる呪いに苛立ちが隠せなかった。式神を駆使してやっとの思いで辿り着けば、そこには呪いに飲み込まれそうになっている生徒二人と美沙さんがいた。

「美沙さん!!」
「っ恵!ちょっ、この人たち剥がして!!!」

取り込まれる生徒二人をどうにかして呪いから引き剥がそうとする美沙さんに手をかそうとするものの、取り込むスピードが早くて間に合わない。生徒よりも先に美沙さんが飲み込まれた。これは最悪な事態だ。すると、四階の窓が割られた。虎杖だ。虎杖が生徒二人を引き剥がした。これなら!中にいる美沙さんを救える。再びこっちに向かってきた呪いに武器を投げようとした、その瞬間。バァン!とその呪いが爆発した。

「っけほけほ…っ!」

爆発した呪いの中から美沙さんが現れる。顔を歪ませながら彼女は必死に息を整えていた。

「美沙さん、何度言えば…」
「だって、これ、もってたんだもん」

ポケットから出した特級呪物。生徒が持っていると危ないと思い自分が引き受けたのだろう。しかし起爆札で自分事吹き飛ばすのはやめて欲しい。俺が受け取る前にそれをぽろりと落としてしまう。彼女は再び辛そうに咳払いをした。背中を摩るとごめん、と謝られた気がした。そして特級呪物を持っていた虎杖を突き飛ばした。はっとし、次の瞬間彼女は呪いに捕まれ壁に向かって投げられてしまった。