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目を覚ます。辺りは暗い。…ホテルに、自力で辿り着いたんだっけ?柏木くんと別れて、気分悪くなって…そこから覚えてない。でも、自分はベッドに横たわっているらしい。痛む体を無理やり起こす。目が慣れてきてみれば、そこはホテルというには妙な部屋だった。私物のようなものが多く置いてある。…どこだ、ここ。布団を勢いよく体から剥がす。見慣れない寝間着。冷や汗が滲む。

「あ、名前さん!」

パタパタと柏木くんが駆け寄ってくる。柏木くん?…どうして?

「か、柏木くん…?ここ、」
「…すみません。勝手なことして。でも、あの状態の名前さんを一人に出来なくて、俺の家に運ばせてもらいました」
「な、なんで…私、柏木くんの前で倒れたっけ…?」
「倒れるような音がしたから、心配で名前さんの方に行ったんです。そしたら、名前さんがうずくまってて…」

ああ、なるほど。結局バレてしまったのか。情けない。結局心配をかけて、こんなにも迷惑をかけている。

「…本当にごめんなさい。大変だったでしょう…起きれたし、調子もいいし、出ていくよ。ホテル取ってあるし」

立ち上がろうとした瞬間、思い切り肩を掴まれる。バランスを崩してベッドに倒れ込む。…柏木くんも、一緒に。

「ご、ごご、ごめんなさい!…ああ、でも!」

慌てて体を起こした柏木くんだったが、切なそうな顔をして、肩口に顔を埋めてきた。柏木くんの髪があたって、くすぐったい。

「そんなこと、言わないでください。俺は…そんなに頼りないですか?」

半ば抱き締められているかのような体勢で。そんな苦しげな声で。だめだ。勘違いを、してしまう。

「…そうじゃないよ。ただ、後輩なのをいいことに、迷惑かけまくってるのが、許せないだけ」
「…後輩…」

ぽつりと呟き、柏木くんが顔を上げる。鼻先が触れあうかのような距離。だめだ。顔を逸らした。

「名前さん、まだ、これでも、分からないって言うんですか」
「…何が?もし、ふざけてるなら…ごめん、のって、あげられない」

柏木くんの手が頬に添えられ、視線を合わされてしまう。だめだ。逃げられない、 もう。

「俺は、本気です」

唇が重なる。途端に力が抜けて、何も考えられなくなる。
柏木くんが手を絡めとる。もう、どうにでもなれと思った。



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