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__此処は、泣き谷




太古からある河の流れに削られた岩肌が
荒々しくも不思議な雰囲気を醸し出す、霧深い谷間


その岩肌に、大きな重い扉が形取られている

ルーン文字や植物など、様々な紋様を施したその扉を入ると、そこには凡そ谷底とは思えぬ明るい空間が広がっている


それは、とある賢者の暮らす家



そこで賢者に育てられた、とある少女が居た


名を、シャラ


幼い頃に賢者に拾われ、その賢者と、賢者に師事する二人によって大切に育てられたその少女は、やはり魔力を有していた



もうすぐ、手紙が届く頃









時が、満ちる