刀剣男士たちと心を通わせるにはどうしたらよいか、管狐のこんのすけに尋ねた。狐は難しく考えず、あなたらしく接すれば良いとだけ答えたのだった。
そのアドバイスを鵜呑みにしてしまったが故に、支障が起こってしまっている。
「あんたも俺を写しだと見下しているのだろ」
疑いの目を向けられ、反応に困る。審神者として初期刀を五振りのうちから選ばせられ、私は何も考えずある一振り、山姥切国広を選択した。端麗で金髪翠眼の王子様な見た目だが、その目を引く容姿を薄汚れた布を被って覆い隠している。初見では気に求めなかったが、この刀の言葉を聞いて腑に落ちてしまった。──性格に多少、難がありますが力は確かです。こんのすけが説明時に言っていたことが反復して意味を理解した。このヒト、絶対に付き合いが面倒なタイプだ。どうして選択する時、頭が働かなかったのか。当本人に知られたらより関係が拗れてしまう考えを頭の中でぐるぐる巡らす。あまり人と接することに慣れていない、所謂受け身の人間にはこうも己を下げ関わりを持ちたがらないタイプに対抗がない。適当に言葉を口にしては今後の関係にヒビが入る。何とかして、相手にとって正答に近い言葉を投げ掛けてやらねば。
「そんなことないです。綺麗です、とっても」
「…綺麗とか言うな」
考え出した言葉は全く相手の心に響かず、かえって不快にさせてしまったことが顔色で分からせられてしまった。
じゃあなんて返せば良いのだ。腹の虫が暴れそうになるのを必死で抑え、表情に出さないよう笑顔を浮かべる。私の思いをそのままぶつけてやる。
「私は思ったことを言ったまでです。不快に思われたのなら謝ります。ただ、一目見て本当に素敵な刀だと思ったので」
嘘はついてないと伝わらせるため、 怪しむ山姥切国広の目を見つめ返す。視線がぶつかった途端、目を反らされ瞑ってしまった。間が空いて浅い溜め息を吐いた後、煌めいた瞳が露見した。
「いや、謝らなくていい。あんたを否定する訳じゃない」
突き刺さんばかりに真っ直ぐ見つめられた。事実だけを包み隠さず見せつける。まるでさっき私がそうした様に。


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