Moon Fragrance

4月12日 なんでもない
なんでもない



「荷物持ちして?」

 私が見上げてそう言うと、普段の所作が優雅と言えるルーの動きが、もっとゆっくりになって私のことを数秒見つめた。そして、お腹を抱えそうなほどに笑いだした。
 ヒーリンからの帰り道、車を運転するツォンさんに、エッジでは数少ない園芸店に寄ってもらった。ホワイトデーにルーから貰ったお花の種。それを育てるための鉢植えと土を買いに。
 花や野菜はこの辺りの乾ききった、栄養のない土では育たない。わざわざ別の地域から運んで来ていた。それを植木鉢分と、えっと、植木鉢はどんなのがいいかなと選んでいると、隣でルーがまだ笑っていた。それでもルーは、買ったものをほらと言って持ってくれた。いつもは私からはそんなこと言わないけれど、散歩中に買い物があったときは、ルーが持ってくれているのに。私はホワイトデーのちょっとした仕返しのつもりだったのに、ルーには可笑しなことらしい。

「今日はどうした?」
「なんでもないよ」

 車の中で笑いを堪えながら、そう聞いてきたルーにそっぽを向いて答えた。お家に帰ったら、明日の朝に貰った種を植える準備をしよっと。
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