起こさないで
窓から差し込んだ光に、自然と目が開いた。体が程よく気怠い。片腕へ掛かる重みが心地いい。汗の引いた触れ合う肌。温かくていい。ふわりと甘い香りが漂っている。彼女から香る幸せの匂いだ。そのほうへと鼻先を向けると、すっぽりと布団にくるまり、頭のてっぺんしか見えない恋人が眠っていた。
そのリクの顔が見たくて布団を捲ると、身じろいだ。1度薄らと目を開けたものの、すぐに閉じて朝日から逃げるように布団を頭に被り直す。まだ起きたくない、ということらしい。
「んー」
短い髪を梳くように遊んでいると、鼻から文句の声が聞こえてきた。モゾモゾと動いて、もっと布団へとくるまる。いい位置を探しているのか、頭をグリグリと動かしてオレにくっつき直した。
「分かった。もう少しおやすみ」
落ち着いたリクに笑いながら囁きかけると、すぐに寝息が聞こえてきた。ゆったりしたいい朝だと、甘い香りを肺に満たした。
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