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カランカランーーー
今日も絶え間無くお客様が訪れる。
「いらっしゃいませ!お好きな席へどうぞー。」
此処は知る人ぞ知る、個人経営のレストランだ。
「魁凪ちゃん、これ追加で配膳台に置いてくれる?」
「はーい!任せてください、此処に置いてあるの全部運んじゃって大丈夫ですか?」
「うん!あ、これスープ入ってるから見た目より重いから気を付けてね!」
「了解です!」
注意された通り、見た目以上にずっしりと重い料理を零したりしないよう気を配りながら配膳台へと運ぶ。
此処のレストランは普通のレストランとは一風変わっているのだ。メニューは無し。
その場その場で、オーナーであり、唯一のシェフである彼女ーーーピンク色のショートヘアー(驚きの地毛なのだ!)で可愛らしい女性ーーーの気分によって料理が前以て用意されている。
配膳台からお客様が自らその中で食べたい物を選び、席に着く。そして、食後に席にて会計・精算といったシステムなのである。
そんな一風変わったレストランだが、知る人ぞ知る…と言ったがこの街では最早知らない人の方が少ないのでは?と思う程、大繁盛している。それは偏に彼女の料理の腕前と人柄の良さもあるだろう。然しそれ以上にーーーーー、
カランカランーーー
「いらっしゃいませーー…あっ!
今日はもう上がり?みんなお疲れ様!」
「そうなんだ、さっき店前でばったり。」
「ああ。悪いがこれから食事も兼ねてミーティングを、と思っていてな…。」
「そそっ!悪いんだけどさ〜、お店貸し切らせて貰っても良い?」
「まっ、当然OKだよなぁ?」
ーーーそう、彼ら御用達となっているからだ。
彼ら、とは。近所の大手事務所に所属するアイドルグループなのだ。
「良いよー。丁度お客さん途絶えたし、新作のレシピ考えたかったし!」
そう言ってニッコリと彼女は笑い、私に「悪いけど、表の看板closeにして貰える?」と言うや否や彼らの為にテーブルを動かし始めた。
私は返事をしつつ慌てて表の看板を変えに行く。その際、チラッと1人に眼を向けるが、相手は素知らぬ顔。
(まだ、駄目かぁ…。)
少し悄気つつも、仕方無いと切り替えオーナーの手伝いをする為店内へと戻る。
これが私の日常だ。