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ドアに提げられた看板を指示された通りに【close】へと変更する。


「これで良し、と!…うーん。オーナーは新しいレシピ考えるって言ってたし、マスターは今日元々お休みだから…どうしよう?取り敢えずもう食器は片付けちゃって良いかなぁ?」

この後の予定をブツブツと言いながらその場で暫く顎に手をあて考えていると……


「えええーーー!??うっそ!?もうお店おしまいなのーーー!!!??」

続けて「これからティータイムになるのに早くない!?有り得ないー!!」との声が聞こえてきた。
まぁ…実際いまは午後2時を過ぎたところだ。そんな時間に店を閉めるのは、飲食店…取分けカフェでは信じられないだろう。
(でもこのお店じゃ実は結構あるんだよねぇ。事務所やスタジオ、ライブ会場にまで配達とかもしてるからねぇ。シェフも1人だけだし。)
背後からはまだブツブツと不満や愚痴が聞こえる。声からして若い女性のようだ。複数いるのか、時折「まぁまぁ、仕方ないよ…」と宥める声や「でもカフェなら今からが稼ぎ時じゃないのかな?それなのに閉めるのはおかしくないかい?」やら聞こえてくる。
そしてついに「ねぇ!そこの人に聞いてみようよ!」「そうね!スタッフさんだろうし…」なんて聞こえてきて。
(あら〜、完全にお店に戻るタイミング逃したかも?)
どうしようかなぁ…なんてボケっと考えていたらーーーー…




カラン カランーーーー





「……遅い。」



「え、」と声を発する間も無く腕を引かれ店内に引きずり込まれる。ガチャリ、と御丁寧に鍵まで締める音が聞こえた。


ドアと向かう形で立っていたため、腕を引かれた勢いのまま顔面から目の前の人物の胸板にぶつかる。

「ぶ、!ぃ…た…!」

「遅いのが悪い。」


そこには仏頂面したイケメンがいた。