ラッキーカラーはピンク

どうしても、
欲しいと思ってしまった。

君の心を。


ねえ、もしも、
私達が出会わなかったら、
お互いどんな伴侶を見つけていたのかしらね。


君の口からこぼれ落ちた言葉たちは、
あまりにも透き通っていて私の手のひらにはとどまってくれなかった。



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ピピピ!

けたたましいアラーム音に私は目覚めの悪い朝を迎えた。
今日も慌ただしい1日が始まる。
今日は気だるい水曜日。1週間の折り返しね。まあ私にとっては週末なんて関係ないのだけど。

頭をかきながらスマートフォンを開き今日の運勢をみる。
ーーおっ!
私の星座は1位。
総合、恋愛、仕事運。すべてに星が5つついていた。ラッキーカラーはピンク。
よし。今日はサンローランの口紅をまとってみよう。
素早く顔を洗いコンタクトを入れた。
タオルで優しく水分を拭き取り二度瞬きをした。
(今日こそ、いいネタつかむぞ!)
きちんとメイクをして最後にブラシで薄くピンクの口紅をのせた。私の今日のラッキーカラー。いいことありますように!
勢いよく家を飛び出した。


「先日の立てこもり事件の容疑者、刀陣鮫男(はじんさめお)43歳はーーー」


通勤ラッシュに揉まれながら車両に備え付けのTVに目を向ける。整った顔のアナウンサーが心地の良いトーンで読み上げるニュースは、ライバルに先を越されたネタだった。

「なお、長期戦と思われたこの事件を解決したのはNo.1ヒーロー、オールマイトーー」

ヒーロー。個性を活かした現代だからこそ成り立つ職業。TVに映し出されたヒーローは国民の心の拠り所となる人物だった。

(絶対に今日こそ一言でもコメントもらってやる)

私が勤めるのは某マスコミ関係のテレビ局。張り込んで張り込んで、根性でネタをつかむのが私のモットーだ。

おはようございます!出社して元気よく先輩に声を上げ自分のデスクにつく。
「よう、おはようみょうじ。今日は雄英行くんだって?」
先輩の言う雄英とは、ヒーロー養成学校のことだ。そこにあのNo.1ヒーロー、オールマイトが教師として就任するという一報を受け、今のマスコミの中ではそれネタでもちきりである。

「今日こそオールマイト本人からコメントもらってきますよ、絶対。」

彼は謎の多い人物だ。年齢不詳、個性も不詳。その為常にマスメディアから狙われている。まあ、私もその狙ううちの1人なのだが。

行ってきます!準備を整えた私はロケバスに乗り込み局をあとにした。