throw back to..,,

「あぁ、懐かしい。」


オールマイトは過去の思い出に浸っていた。それは、何年も前、アメリカに留学していた頃の思い出。



「Excuse me!」


私が渡米してから間もない時期、キャリーバッグ片手に新しく入居する寮へと向かっていた時だ。右も左も分からない異国の地、自身の学力とコミュニケーション能力だけを頼りに大通りを進んでいた。しかしながら広い街。やはり迷ってしまった。いまだにそうだがこういう時は人に頼るが吉だと私は信じて疑わない。



「新入生?私も来年その大学を受けようと思ってるの!寮は併設されてるから、あのアベニューを右に入って....あら?あなた日本人?」



とても綺麗な瞳の人だった。鎖骨くらいの栗色の髪の毛を風になびかせ私の呼びかけに振り返ってくれた彼女は、パウダリーでどこか懐かしい、それでいて透き通った石鹸の香りがした。
流暢に英語を話すその女の子は、私の発音なまりから読み取ったのか日本から来たことを的中させる。英語はやめて、日本語の会話へとうつった。彼女は私が春から通うその大学のキャンパスへ行く途中だったらしく、道案内をしてくれるそうだった。



「じゃああなた私の1つ上の年ね。私はなまえ!よろしくね」
「いい名前だね。俺は俊典。トシってよんで。」



まだ少し肌寒い季節。ニット帽子を少し浅くかぶり、マスタードイエロー色のタータンチェックシャツを前だけインディゴスキニーデニムにイン。
足元は黒いレースアップショートブーツで軽やかに脚を運ぶなまえ。
これが私たちが出会った初めての日だった。年頃の私はいい香りのするなまえに少し頬を紅潮させていたに違いない。



「志望大学の先輩に知り合えるなんて私ラッキーね。トシ、こっちに知り合いまだ少ないでしょ?私が友達になってあげる!」
「HAHA!助かるよ!」



お師匠と自分に誓った約束を胸に、恋愛なんて絶対にしないと思っていた。強く逞しく力をつけて、お師匠が守ろうとしたあの日の丸の国に帰るまで。
勿論芯はぶれない。



「でも、なんでアメリカに?」
「成さねばならない事があるんだ」
「成さねば..?」
「うん。そして夢もある。絶対に叶える夢さ」


これは私が後に大親友となるディヴと出会う前のお話。今考えれば年下の女の子に一喜一憂してたなんて笑ってしまう。


(ねぇ?先生)




ひんやり頬をかすめる風に目を細めながら空を見上げた。雲ひとつない、とは言えないけど、とっても晴れた青空。
ここで、ヒーローを目指す。最高のヒーローになって、母国へ帰るんだ。




(あの頃はほんと、わかかったなぁ)





苦味と酸味が入り交じるインスタントコーヒーを、オールマイトは会議室の片隅でズズっとすする。
座り心地がいいとは言えない会議室の椅子の背もたれに大きな背中を預けた。ギシッと機械的な音が鳴る。まるで彼自身の身体から鳴ったかのような、骨の軋む音。



(今頃なまえはなにしてるのかな)




オールマイトは、今日もあの思い出に浸る。



「おっとそろそろ事務所を引き払う準備しなきゃだな」



独特な着信音がある人からのメール受信を知らせた。私がそれに目を飛び出すほど驚くまで、あと、2秒。

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ちょっとだけ映画のネタバレを含みました(微妙?)
とは言ってもアニメのオリジナル回でオールマイトのアメリカ留学時代やディヴの事もバッチリ流れてたので大丈夫かしら?
続きいつか書きます。

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