ガリ
『アンドロイドは仕事ドロボウだ!』
ガリガリ
『貴様がデトロイトを崩壊へと導くことになるだろう!』
ガリガリガリ
「ナマエ警部。あんまり飴を齧り過ぎると虫歯になりますよ」
「朝っぱらからうるせぇなあ…」
ガリガリガリガリ
こちとら夜勤明けだっーの。
広場で気狂いじみたデモ隊やら啓蒙活動家どもがぎゃんぎゃんぎゃんと喚くたび、俺の頭の中では鈍痛が轟く。もう勘弁して。
『そうだ!そうだ!今すぐ禁止しろ!今すぐ!』
『やがて我らの傲慢の報いを受けなければならない日が必ず来るだろう!』
「一旦署に戻るぞ、耐えらんねえよクソ…」
「わかりました。ちょっと待ってて下さい、パトカー回してきますから」
ストレスの捌け口となっていたキャンディくんはとうに砕かれ飲み下され、俺の手は煙草を求めて必死にポケットを探る。
なんだって禁煙なんて馬鹿なマネ…いやいや、ここで煙草を吸ったら今までの苦労が水の泡…でもやっぱり吸いたい、ああ吸いたい…
壮絶な葛藤が繰り広げられる俺の胸中など知る由もないまま、デモ隊はだんだんとヒートアップしているらしく。
『よし!やれ!やっちまえ!どうだ、ざまあみやがれ!』
今度は喧嘩か、ほんと朝から元気だな。
ああ、無職だからか。
腰掛けた噴水からはよく見えないが、どうもデモ隊の連中がなにかを取り囲み騒いでいるらしい。揃いも揃って暴言を吐き散らす様子はまるで暴徒だ。
周辺の人間もただならぬ雰囲気を察知したのか、一体何事かと首を伸ばしている。
俺は致し方なく重い腰を上げた。
「…はいはい、そこまでにしときなさいよ。全員公道不法占拠でしょっぴかれてえか」
バッジを見せながら近づいていくと、連中は不承不承といった様子で道を空けた。
道路に一体のアンドロイドが倒れている。原因はコレか。
「…器物損壊?」
なんてメンドウな。見なかったことにしちゃおう、かな。
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