宇宙からの光は、あらゆる存在を殺してしまう。
生き物であれば大抵は即死するか、発狂して死ぬか、この色彩に執着して死ぬか。いずれにしろ碌な末期を辿らない。
昔からずっとそうだった。
遺骸はなべて灰色に染まり、崩れ去り塵となる。そしてこいつの輝きはより一層美しさを増す。
ガキの頃に住んでいた小さな街を壊滅させたときから、俺は何者とも縁を持たぬよう名前を捨ててひとりで生きるようになった。
そのつもりだったのに、幼く惰弱な俺は黒髪の少年との繋がりを望んでしまう。心底すまなく思いながら、確かに生きて呼吸をしている人間が隣に居る時間が本当に幸せだった。
「良かったね。これからはずっと一緒にいられるさ。だって僕たち親友だろ?」
ハルノが生み出した草花はあっという間に枯れてゆく。蝶々も蛇も小鳥も誰かも死んでゆく。
「僕は色々なものに生命エネルギーを与えることができる。君のオーロラが満足いくまで、いくらでもあげられる」
分からないのか。俺は、お前に死んでほしくないんだよ。
もう何も殺したくないんだ。
「死なないよ。僕はともがらを見捨てて死にはしない。だから、安心してくれ」
それならどうして俺は鎖に繋がれているんだ。どうして籠の鳥のように閉じ込められているんだ。
己の中でとっくに結論が出ている疑問を繰り返し繰り返し考えて。
いっそ、一思いに殺してくれればいいものを。
そんな考えが表情に出ていたのだろうか、目の前の緑が不安げにゆらゆら揺れて。
やがて何やら身体があたたかいものに包まれる。ハルノの腕の中に収まっているということに気づくまで数十秒要した。
誰かに抱きしめられるなんて、一体いつぶりだろうか。
「可哀想に…辛かったろう。もう君は誰も傷つけなくていいんだ。僕が一生そばにいるから」
ちがう。
お前の善意からくるかのような言動は、すべてこいつに精神を汚染されているが故なんだ。決して自身の意志によるものじゃあないんだ。
どれだけ言葉を尽くしても彼の耳には届かない。そう、だから、一刻も早く俺を殺してくれと乞わずにはいられない。
視界の端に鮮やかな光がちらりと映る。
異次元からの色彩は、狩りの果てにようやく獲物を仕留めた捕食者のように、とても満ち足りていたから。
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