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『NARUTO』6〜10巻再読感想
2019/01/29(Tue) 感想
 先日に引き続き、合間時間にちまちまと『NARUTO/岸本斉史』の再読を続けています。前回が1〜5巻だったので、今日は6〜10巻の感想です。

 6〜10巻は全編を通して、中忍試験編です。
 死の森でのサバイバル、第2試験から始まります。

 第2試験開始直後から、第七班は草忍に狙われます。
 1人になった隙に、まんまと拘束され化けて成りすまされてしまったナルト……サスケだけは見事に見破ってくれるも、そのサスケにナルトが「サスケー!」と遠慮なしに助けを求める姿は、2人の顛末を知ってから読むと一層の感慨があります。
 よく見ると、この頃のサスケ&ナルトって連携ばっちりなんですよね。
 サスケに解放され、草忍に背後を取られるサスケの元に駆けつけたナルトは、クナイを投げて彼を援護するのですが、これを「てめーはいつもおせーぞ、ナルト!」などと思いながらも即攻撃に換えてしまうサスケがすごい。なんかもう、以心伝心……?

 ナルトは大蛇丸にも成り済まされてしまいましたね。その後、大蛇丸の殺気をモロに浴びたサスケ&サクラ。
 これも初期ならではか……この2人が『死』をイメージしてめちゃくちゃ怯えてる。ここは、サスケが当たり前のようにサクラの様子も気にかけてやっており、サスケの中ではこの試験を突破するために必要な要素、その計算にナルトやサクラも入っていることにまた感動してしまいました。この頃が第七班のチームワークは1番よかったのかもしれない。

 そしてそして、サスケとナルトがダウンし、サクラが1人で2人を守るシーンではやはりリーの活躍が外せません。
 リーは、完全熱血青春モードでもそうでない時でも、きっといつでも『素』なんだろうなぁと思います。サクラの元に単独で駆けつけたとき、すごい冷静にサクラの状態の観察と、ドスの攻撃を分析していたの、控えめに言ってとても格好良い。
「バカ正直には避けないよ」
 相手への煽りなく、3対1の部の悪さをどう攻略していくか、していくべきかを考えているリーさん、絶対いい男なんだけどなぁ。格好つかない方が格好良い男の子、ロック・リー。

 この第2の試験で、サクラはひとまわり頼もしく成長しましたね(´;ω;`)
 ダイエットだとかブローだとか、サスケの好みだとかを気にして、大事に伸ばしていた髪の毛を自らバッサリ切り捨ててしまったサクラ。彼女はその後、2年後から物語の完結時まで再び髪をロングにすることはありませんでした。もしかしたら、サクラがそのまま短い髪でいることは、この第2試験に絡めてサクラの中で何か大きな意味があったりするのかな。あるんだろうな。

 サクラが頑張った後は、これからの『NARUTO』の物語上でも、わりと長い付き合いとなる大蛇丸の呪印≠ェ初登場します。
 呪印の初暴走時、見開きで抱えれているサスケのこのセリフは、初めて読んだ時にも衝撃を受けたのを覚えています。
<b><i>「サクラ……誰だ……お前をそんなにした奴は……」</i></b>
 同じ『衝撃』でも、あの頃と、今となって改めて感じるそれとはまた少しずつ質が違ってきているような気がします。
 このサスケのセリフの掲載巻は6巻ですが、のちの10巻では「大蛇丸はサスケを取り巻く現在の環境に危機感を覚えている」とわかる描写があります。おそらく、大蛇丸が事を急ぎたかったのは、サスケの“こういう部分(変化)”だったんじゃないかなと思います。
 サスケは初登場時から常に兄への復讐に燃え、それだけを野望として抱いていた男の子でしたが、1巻からこの6巻までで、サスケにも既に若干の変化は起きていたんですよね。大きな転機となったのは、おそらくカカシ先生の鈴取り演習かと思われます。そこからはナルトたちとの信頼関係だとか、チームとして動いていくことへの心地よさだとか、そういった色んなものが多方面から作用していった結果なのかな。
 作中におけるサスケとナルトの構図は「どう足掻いても運命でしかなかった」と言えるのでしょうが、それでもこの短いあいだにサスケの身に起きた変化を思うと、決して悪い変化じゃなかったのになぁ、サスケが里を抜けずに済むルートはなかったのかと、先を知っているのに思わずにいられません(;_;)

 そう考えると、大蛇丸はつくづく、物語最初の歯車破壊者ですね。

 中忍試験時のサスケって、当時13歳とかでしょう。
 それなのに、あそこまで強い復讐心を確固たるものにしてるって、やっぱり生半可な気持ちではない。その決意は、もはやなにかを得たいがためのものではない。自分の使命とすら思ってるかもしれない。大蛇丸の呪印から力を得て、それを思い出しちゃったのね。

 第七班が危機から抜けたあと、場面は変わり、砂の3人に焦点が当てられます。待ってました!
 雨隠れのおじさんに喧嘩吹っかけて、あの中で1番チビなのに1番凶悪な我愛羅が腕組んで少しも動じないの、ツボです!
 我愛羅はこれから時間をかけて、世の中と人、そして自分への理解を深めていくけど、変わる努力に成功したあとの我愛羅もたいへん好きだが、この頃の今にも悲痛の叫びが聞こえてきそうなズタボロの心をしまいこんだままの我愛羅もとても好きです。
 その後の展開に鑑みれば、この頃の我愛羅の精神状態は本当の本当に極限状態だったのだなぁと、読めば読むほど思います。だから、たとえ我愛羅が圧倒しているシーンでも読んでるとこちらの心が痛くなる……( ; ; )
 この我愛羅が雨忍を3人殺してしまうシーン、最初は巻物を奪うことに重きを置いていたカンクロウや、命を奪うまでは必要ないと考えていたのか我愛羅の残忍さに冷や汗をかいていたテマリも、雨忍チームがいよいよ死すという頃には「……死んだな……こいつ」「バイバイ」などと、すっかりノリノリというか既に我愛羅を止める気は失せてしまっていて、我愛羅以外の兄と姉もまた、凶暴な我愛羅の近くにいたということで価値観は年齢相応とは言い難いのだよなぁと思いました。忍の死にビビってない。もしも、我愛羅誕生の時分より風影一族に起きた出来事を『砂の悲劇』とするならば、それは決して我愛羅のみに該当するわけではなく、この砂3姉弟全員に降りかかったものだといえるのかもしれない。

 直後、我愛羅は「(巻物は手に入れたから)塔へ向かおう」というカンクロウの提案を一蹴します。
 ここで、カンクロウは「たまには兄貴の言うことも聞いたらどーなんだ、我愛羅!」と、兄貴らしく反論に出ます。作中では、初めてこの3人の関係性が明らかにされた場面でした。
 この後、テマリも「姉さんからもお願い」と言って我愛羅を諌めていますが、たとえまだこの場面では恐怖が先立って口先だけのものだとしても、少なくともカンクロウとテマリの2人は『我愛羅の兄(姉)』という自認が少なからずあるんですよね。
 我愛羅には、これだけでは足りなかったんだよな……『関係』と『愛情』は必ずしも因果関係を結ぶわけではないとこの歳で悟ってしまっている我愛羅の傷が深すぎます。

 再び第七班にカメラが戻り、3人が必要な療養を終えて、食料確保に奮闘するシーンに移ります。
 追い込み役のナルトに、もっと暴れろ、保存用にもっととっておきたいと言うサスケが、サクラの「火の用意できたわよー!」であっさり引き下がっていくのすごい可愛かった!

 ここから、ナルトたちは塔までカブトと行動を共にすることになります。
 大蛇丸もそうだったけど、カブトという敵サイドは、なんだか妙にサスケの闇を見抜いている気があります。
 カブトは、サスケにきっぱりと「キミは、自分で言ってるほど心を徹しきれてないな……!!」と言い、シビアになりきれていないというようなことも言っています。この辺が、先の呪印暴走を経て、サスケの揺れ始めだったのかな。

 それでも、塔付近で敵の幻術にハマってしまったときにはまだ、反射でナルトを庇うような素振りは見せているんですよね。

 無事に塔へ到着した一行は、火影直々にこの中忍試験の本当の意味を伝えられます。
 国の威信、戦争の縮図とまで言われて、忍の世界がいかに厳しく殺伐としたものであるかがわかります。ここでは、各国の軍事力が各忍里への依頼件数へと繋がり、そしてそれぞれの経済状況にも影響を与え得ることが明かされます。
 この世界観、すごく面白いですよね。
 忍者といえば、著名どころはなんといっても松平・徳川に仕えた服部半蔵でしょうか。彼や甲賀流のように主君を持ち、その主のために暗躍するのも忍者ならば、それより以前の歴史では伊賀流のような契約関係でしかない雇われ傭兵もまた忍者。
 この『NARUTO』では、国情勢や大名たちについてはあまり詳しく描かれません。あくまで焦点を忍里に絞ったストーリー進行だし、描写ですよね。忍里にも忍里であるために、そこに在る人々を守るために、近隣諸国との関係や戦力バランスは大事なのだなぁ。

 第3試験の予選、カブトは辞退しています。
 ここであんこから明かされたカブトの経歴で、生い立ちの一部が出ていました。薬師カブトの来歴について、きっと先生の中ではこの時点から詳細が決まっていたんですね。見落としてました。

 結果から言うと、予選ではサスケとナルトが勝ち抜くのですが、予選開始の前にサスケがサクラに出場を止められるシーンがあります。
 ここでも、サスケはサクラの心配と涙ににわかに狼狽えて、困惑したような表情を見せています。まだ、サクラの声が届いていたことがよくわかります……。
 しかし、サクラには「ナルトには言うな」「余計なお世話なんだよ」と無理やりやりこめて口止めに成功し、ナルトには「お前とも戦いたい」とギラついてみせるサスケは、本当に班員に愛されてるのになぁ。サスケもきっとそれをわかってて、その上でナルトにはこんな最高の口説き文句に近い煽り方をしたんだろうな。これはナルトも燃えないはずないよ。
 班結成当初は、素で「ウザいよ」と言って冷たい目を見せていたサスケが、ここでは同じくサクラを突っぱねるにも「余計なお世話なんだよ」と言いつつも冷や汗をかいているのが印象的です。もう、こういう言葉にも抵抗を覚えるくらいには認めていたのかな。

 第3の試験(の予選)は、サスケが1組目でした。
 ここで、素直に「サスケくんガンバです!!」とサスケを応援できるリーの純粋さが尊い。ネジなんか、「お手並み拝見といくか……」ですよ。
 結果はサスケの勝利。
 あれだけ顔を合わせれば張り合って、意地を張り合って、憎まれ口ばかり叩いているのに、サスケの勝利とわかった瞬間に思わず「やったー!!」と大喜びしてしまうナルトがとても可愛い。

 ところで、サスケVSヨロイ戦が決着し、その後のサスケをカカシが呪印封印のために奥へ引っ込めるシーン(8巻104ページ)の、3コマ目のサスケの顔!笑
 先生にポンと肩に手を置かれて、何を思ってるんだろう。すごい間の抜けた可愛い顔をしています。笑

 サスケは、呪印のアザについて、サクラには第2試験中と予選前とで2度に渡って口止めしているんですよね。
 真面目なサクラの性格をわかっていて、「これもチームワークだ」とこれ以上ない決定的な言い回しを使うサスケは、やっぱりキレ者だしずるいと思います。いや、本当にずるかったらサクラの恋愛感情を利用するか……単に口説かずの口説き上手だってだけかな。

 そんなサクラの対戦相手は、かねてよりサスケを巡ってのライバル・いのです。
 いのも、『NARUTO』の女キャラの中ではかなり好きなキャラクターなんですよね。いのって、こうして1巻から読み返していくと、「アカデミー時代はくノ一の中でも頭抜けていた」というアスマの説明があったり、昔のサクラが憧れてやまなかった『いの像』が「何でも知ってるし……オシャレでカワイイし……(中略)手裏剣術にしてもそう。忍術だってすごい……」であったりと、昔からくノ一としてかなり優秀だったことがわかっています。
 気が強くて懐も深く、器の大きくて、すごく格好良いです。人を励ますこともとても上手い。
 同期にそこまでの憧れを抱いて認められるサクラの無垢さも可愛いし、そんなサクラの気持ちを汲み取っているのかいないのか、今となってはもう立派な強力なライバルだと認めて全力を出すいのも、どちらもいいなぁ。サクラやアスマが心配しなくても、いのは初めから全力を出すつもり満々だったんじゃないかな。
 結果は引き分けだったけど、これほど納得がいって好みな引き分けもそうないなと思います。これは、中忍試験のあいだに大きく成長し、今までにこなしたどんな任務よりも強い積極性を見せたサクラの変化を見て、「この中忍試験に出して良かったと……心から思ってるよ」と零すカカシの心境が優しい。担当上忍として、嬉しいんだ。第七班の中の、これまで目立ってきた他2人ではなく、ほかでもないサクラの試合の後にこのセリフがくるというのがまたグッときます。

 この予選はどの組み合わせの試合も好きで、どこを取り上げても面白い。書き出したらきりがないです^^;
 なのでざっとだけ書くと、ナルトVSキバ戦で、これまたサクラにまつわるコマでかなり好きな部分があります。
 木の葉の人間が多いこの場で、誰しもがナルトを見くびって弱いと決めつけている中、サクラとカカシだけが笑って見ているシーンです。サクラは、過去を回想していつかは馬鹿にしていたナルトの夢を既に認め、信じたくなっている胸中を明らかにします。
「みんなに言ってやんなさい……!」
 からの、
「行けー!! ナルトー!!」
 これ(´;ω;`)(´;ω;`)(´;ω;`)
 ナルトも、(試合に集中してて聞いてたかはわからないけど)ちゃんと聞いてたら相当嬉しかったんじゃないかなぁ……あのサクラが自分の夢をもうバカにしない、認めてくれて、勝利も信じてくれてるって。いいチーム……(´;ω;`)

 本当はナルト、原作開始時点からこれまでのあいだに、もっと派手ですごいことだって結構やってたと思うんですけど、このVSキバ戦の中で多くの人を見返していきます。
 昔、この辺りを読んだ時には、ここまでの大きな感銘は多重影分身だとか、九尾チャクラだとか、もっと派手でどでかいことをした時に起こる方が華やかじゃないか、と浅はかなことを思った覚えがあります。けど、違いますよね。九尾のチャクラを使わずして、ナルト自身の経験や工夫によって勝ち、見返していくからこそ意味があるんですよね。
 この試合を見ながら、「しかし……自分から噛み付いてギャグ切れするとは、面白い奴だ……」と口角を上げているネジには、ちょっと笑ってしまいました。ネジのセリフって、こんな感じだったっけ……(ネジ、超好きです)

 ヒナタは、この頃からナルトが大好きですね。
 ヒナタの胸中が語られているページで、「ナルトくんは、私と違ってずっと自分の価値を信じてた……」という表現があるんですけど、これすごくいいですよね。多分、この表現を掘り下げていくと、決して過信や慢心などではなく、おそらくはガイがリーに言っていた内容と同じで、「努力する価値があるかどうか」の話だと思うんですよ。自分の価値を信じるというのは、変に腐らないという意味ではなかったのかなぁ。そう読み取りました。
 ヒナタは、ナルトが誰にも見向きされない事実を知ってたけど、これに対して罪悪感のようなものを感じたことはなかったのかな。声をかけてあげられなかった罪悪感の前に、自分を卑下して「私なんかが」と思う気持ちの方が強かったのかな。きっとそうだろうな。

 ナルトVSキバ戦では、既にナルトに対し一切の疑いも持っておらず、信じ切っているサクラの心強い応援の姿勢と、木の葉のみんなに認められていく様が素晴らしい(´;ω;`) この時のナルトは自覚してないかもしれないけど、ナルトにとっても、すごく大事な試合だったように思います。

 試合後、ヒナタがナルトに傷薬を手渡すシーンでは、ヒナタの片思いを察してそっと見守る、紅の優しいフォローにほっこりです^^

 そんなヒナタは、ネジ相手に本当によく頑張った……死んじゃうかもしれないのに、ヒナタもこの中忍試験で大きく大きく成長したのではないかな。
 ここではまだ、木の葉のほとんどの上忍に取り押さえられるネジの精神が、のちのキャラと比べるとかなり余裕ない感じです。この時点で、最も強烈に冴え渡る才能を見せつけたのはネジであり、実力面では既に申し分ない域まできていると上忍陣たちも認めきっているというのに、当人は決して「(ネジの)実力が高すぎるが故に止め方も大袈裟になった」とは捉えず、それも全ては宗家であるヒナタへの特別待遇だと捉えてしまうあたり、宗家が絡むと日向家きっての天才ネジも視野が狭くなってしまうようです。
 彼もまた、今の自分が在るのは父を始めとする日向から受け継いだ血と技術であることに誇りを持っていないはずはないのに、そんなネジの闇もまた日向の血にあるから、誇りと憎しみと……複雑すぎて……辛い。

 試合後のネジに、ナルトが衝動任せに突っかかっていくシーンがありました。ここでナルトを止めたのは、リーでしたね。リー、自分はテマリVSテンテン戦で突っ込んで行ったのに……肝心なところではきっちりナイスガイに振る舞えるリーくん、やっぱりとても格好良いと思います。

 カンクロウとナルトの掛け合いでは、ここでカンクロウのキャラがなんとなく見えてきた感じがしましたね。笑
「お前、面白い奴じゃん……気に入ったぜ……」
「お前、面白くねーじゃん。気に入らねェーってばよ!」
 ナルト、あんた……。笑

 そして! そして! ついに始まります、我愛羅VSリー戦!!
 ここでは、今まで描かれなかった我愛羅の新たな表情が沢山見れました。重りを外したリーのスピードに、目を見開く我愛羅はかなりレア。
 我愛羅は今まで誰にも傷ひとつつけられたことがないのだと、カンクロウが言っていました。加えて、第2試験で雨忍を惨殺したシーンを踏まえると、これまでの我愛羅は任務でもいつもあの仁王立ち&腕組みで、自我が保てている限り微動だにする間もなく敵を圧倒してきたのかな。
 リーの裏蓮華は、我愛羅を翻弄します。人間業じゃないとまで言わしめたリーのスピードは、我愛羅を滅多打ちにすることに成功しました。終盤、砂の鎧はほぼ崩れていました。
 我愛羅をここまで追い込んだ対戦相手は、リーが初なのかな?
 勿論、暴走時に実父の4代目風影が対応に出た時なんかは、その限りではなかったのだろうけど……テマリやカンクロウの動揺っぷりからも、多分そうっぽいですよね。
 テマリは、立ち上がったリーが気を失っていると判明した後に、「フン……我愛羅に勝てるわけないんだ……」と強がりを言っていますが、そのこめかみには冷や汗が滲んでいます。この冷や汗は、リーがまだ立ち上がってきたと思ったためなのか、立ち上がったら我愛羅がリーにとどめを指すと思ったからなのか、どちらだったのだろう。おそらく、リーのあまりの打たれ強さに驚いたのでしょうね。我愛羅はこの頃、既に踵を返してますし。

 あれだけ奮闘したリーでさえも、我愛羅に傷をつけることはできませんでした。
 リーは尋常でない怪我を負い、我愛羅はリーにとってのガイという存在で何か思うところが大きいようです。色々な意味で強烈な、印象的な試合です。心の難しい我愛羅の対戦相手が、数多くいる受験者のうちで、誰よりも実直なこのロック・リーだったことは、大変意味のある展開であり場面だったのかなと思います。

 予選終了後、大蛇丸が自身の右腕であるカブトをサスケに仕向けます。
 10巻の128ページに、大蛇丸とカブトが人目を盗んで密談する場面があるんですけど、そこでは先述の<b><i>大蛇丸の懸念</i></b>が記されています。大蛇丸は、サスケが「目的を遂げるまで死ねないはずなのに、自分に死ぬ気で向かってきたこと」を憂いている様子。
 サスケにとって、ナルトの存在がそれだけ大きいことをも、大蛇丸は既に見抜いているんですね。
 良い変化なのに! 良い変化なのに〜〜(´;ω;`)!!
 そして、ここではカブトの本性が見え隠れするような、しないようなというコマもありました。カブトが反応しているのは、大蛇丸が「自分色に染める」なる言葉を発した時ですね。やっぱり、のちに明らかになるカブト像はこの頃には既にあったんだ……。すごい。
 そんなカブトは、暗部を破ってサスケに行き着いても、
「いずれはあの忍術であの子も……」
 なんてことを思っています。もしかして、カブトはサスケに少々同情的だった?

 そうして、中忍試験は一旦1ヶ月の期間を挟み、本戦に向けて各人それぞれの準備が始まります。
 ナルトは、カカシにフラれたので、かつてKOしたエビスにお世話になります。ここでは、いつかはあんなにも見下していたエビスも、ナルトを認める一員となりますね。ナルトがいつも一生懸命頑張ってきたからだね……エビスは、ナルトの実力ではなく、ナルトが木の葉丸に送った言葉により、ナルトの内面を知って認めたパターンです。というより、エビスは元々、ナルトを「九尾だから君が悪い、怖い」という方向で忌み嫌っていたのではなかった。ただ、落ちこぼれが嫌いだっただけ。こういうのもいい。落ちこぼれのレッテルを貼られて悩んだり、劣等感に苛まれたりとかって、漫画の世界じゃなくても普通にあることだもんね。こういうのは、真っ先に偏見に満ちた目で見てしまったエビスのようなキャラにマイナスの感情を持つよりも、ただ単純に、たとえ実力や不遇な生い立ちを辿ってきたことによってこのような差別や偏見を受けたとしても、それらを自力で払拭してきた『ナルトの物語』として読みたい。エビスのような、おそらくはナルトについては概要くらいしか知らなかった大人が、本人の姿勢なんかを見て、見方を変えていく。素晴らしい。

 そうして、エビスとともに修行に励むナルトは謎の覗き人と出会って、10巻が終わります。
 ここまで書いて、これは巻を重ねるごとに吐き出したいことが多くなっていって、どんどん量も増えていきそうだな……と、5巻ごとの感想大会は無理あったかなと思っているところです。ざっくりになりすぎてしまった部分も多いけど、楽しいです。
 次書く感想は、11〜15巻の予定。以上