2
rot
gr*n
lila
gelb
orange
blau
wei*
こんな桃源郷の様な場所があったなんて
「……………!」
なんて美しい
己の業務を忘れてしまうほど色鮮やかな花畑に心を奪われ
、
誘われるようにそこへ足を踏み入れ
た
「(これほどまで穏やかな場所があったなんて、)」
知らなかった
花畑の中にある大木へ繋がる細い道を歩けば
麓にもオペラモーヴ色の花が咲いていた
「(一体なんの為にこんな場所があるんだ)」
この黒の教団に似つかわないこの景色は私にとって異世界だった
時が経つのを忘れてしまう
あまりにも美しい、と
感嘆する程見とれていたのも束の間だった
頭上から木の葉が擦れ合う音で咄嗟に身体が動けば
続けて枝が折れる音と小さな悲鳴
そして腕に軽い衝撃が加わった
「「!?」」
受け止めた衝撃の正体は、東洋人の髪色を持つ天使、
の様な少女だった
見たことのない制服だが、良くみるとローズクロスの刺繍がされていて
「怪我はないですか?」と問いかければ
落下に耐え、固く閉じていた目がゆっくりと開かれる
黒い瞳に長い睫毛
外見的年齢からは感じ取れない、何か
私と目が合えば驚いたようにフードで顔を隠す
「…………………」
「………………」
困った
無言でうつ向いてる所為で表情がわからない
そもそもこの少女は教団で何班の者なのか、名前は、年齢は、出身国は、
疑問が次々浮かぶ中、私は少女を芝生に腰かけさせ
その瞬間の、足の怪我を見逃しはしなかった
「…足、擦りむいてます」
「…………あ、」
偶然にも所持していた鞄の中からガーゼと包帯、消毒液を出そうとすると少女の肩が小さく揺れた
警戒されたが故だろう、当然だ
「このまま、怪我をした貴女を置いて仕事に戻るわけにはいきませんよ
手当てするだけですから大丈夫です
それに、これはどこかの班が作った薬品ではありません
………それでも、もし、私のことを
信用できなければこの手を払って下さい
教団の救護班を呼んできますから」
少女が首を横に振れば、私は消毒液の青い蓋を開ける
「………………
貴女は会話することが困難なのですか?」
「……………ッた、助けていただいて
ありがとうございました
それで、その…
わ、わたし、牢獄行き、ですよね…?」
言葉を発したと思えば、想定外な台詞に傷口から目線を外す
「何故です?
貴女は何か悪いことでもしたのですか?」
「、…だって、私ったらエクソシスト様に
こんな無礼をしてしまって
………………!」
声を震わせ顔の前にあるフードを強く握っている
どういうわけだが、私が教団のエクソシストだと勘違いしているらしい
「私は中央庁の監査官です
私にはそんな権限はありません
それに、これぐらいのことで牢獄に入ってたら何個あっても足りなくなります」
「…かんさかん、様ですか?」
「はい
あと、私に"様"は不要ですので」
「素敵な、お名前なんですね…!」
がたり、と肩が崩れたような気がした
この少女の年端が気になり、改めて見いってしまう
「………(………!?)
いえ、監査官は役職のことで
名前はハワード・リンクです」
「……っ!?
やだ、また私ったら…!
「大丈夫ですよ、気にしないで下さい
それよりも歩けそうですか?」
これが"天然"と言うやつなのだろうか
と頭の片隅で考えながらも
手早く包帯を巻き終えて、表情を見る
が、やはりフードが邪魔をして口元しか表情が読み取れない
それでも、一先ず頷いたのを確認して安堵する
「…それで貴女は、どこの班なのですか?」
「私は7班になると思います、
…その、まだ入って数ヵ月で
あまりここのことが分からなくて
あっ、申し遅れてすみません
名前は#本田##セイ#と言います」
「#本田#さん、ですか
7班と言うと
調理や清掃の分野になるのですね」
「…えっと、」
そう言いかけた時、コートに隠れていたゴーレムから無線が入る
『リンク監査官〜?アレンいましたよ〜』
「!今行きます
すみません、話している途中で
私はこれから任務がありますので
失礼します」
それだけ言い残し、ライラックの花に注意し立ち上がる
いつまでもここにいるわけにはいかないのだから
「……………っ」
……………………まって
「………………、」
聞き間違いではない
確かに、聞こえた
*
- 2 -
*前次#
ALICE+