「謝ってください」
凛とした声が響いたのはそこだった。
「名前ちゃん、もうやめなさい」
「いいのよ、あなたが危ないわ」
それでも彼女は譲らなかった。
「おい女。俺が間違ったこと言ったか?」
「お金はいいです。ただあなたの言葉に対して謝罪すべきだと思います」
恰幅ある男に負けじと見上げる彼女。
強い女だと思った。
虫も殺せぬような太陽みたいな明るい笑顔を振りまいて、輪郭もぼやけるような軟弱な喋り方と澄んだ声と、喜怒哀楽の怒は母ちゃんの腹の中に残してきたんじゃないかというほどお人好しな性格で。
万事屋も近藤さんや土方や真選組のヤツらも誰が見てもそう思っただろうに。だけど、自分の決めたことはやり通す曲がったことは嫌いなその芯の通った魂に、不覚にも強い女だと思った。
だからこそ彼女に惹かれるヤツらは多いのだろう。このかぶき町でバカみたいに騒ぎ立てる連中にも流されず、だけど人を選ばず、出会い別れ人を大切にしている彼女だから、俺も不思議と惹かれたのだろう。